アルス・エレクトロニカ 2002

HAPPENINGText: Simon Scheiber

「アンプラグド」というテーマの下、オーストリアのリンツで9月7日から12日に渡って開催された今年のアルス・エレクトロニカ。アンプラグ(つながりを持たない状態)になること。そしてつながり合いを持つことの狭間にある新しいカルチャーのミックスこそ、この大規模なアートイベントそのものである。前年のテーマ「テイク・オーバー、誰が明日のアートを作るのか?」に引けず劣らず、アルス・エレクトロニカの重要かつ興味深い魅力も健在である。

初日にまずフィーチャーされたのが、ドナウ川で開催されたかなり大規模なオーディオ・ビジュアル・イベント、リンツァー・クランヴォルケからクリスチャン・ムースピールハンス・ホーファーによって制作された「ハーモニス・ムンディ」。しかし、どういうわけかこの文化的混合実験は特筆すべきほどのものではなかった。その反面、異なる文化や土地の影響を受けた人々によって歌われた音楽はとても刺激的であった。

アルス・エレクトロニカが始まった時からすでに、この世界自体がアンプラグド(つながっていない)なのだ、と感じた。まず、最初のスピーチで紹介される予定だったアフリカからのバンドの不参加が急きょ決定。これは、フランスの航空会社のストライキに不運にも巻き込まれてしまっただけではなく、バンド自体も一カ国にしか入国できないビザしか所有していなかったためである。なんとも皮肉だが、これが現実!

その日の夜には「66B/CELL」による、「ファウストII」のハイブリッドバージョンが行われた。とても面白いイベントだったが、若干物足りなさも感じられた。

8日の日曜日には、シンポジウムの開催も始まり、ショーの準備も着々と進められているようだった。しかし奇妙だったのが、ブルックナーハウスでアンプラグドのシンポジウムが開催されている一方で、アルス・エレクトロニカ・フューチャーラボによる非公式なアンプラグドが、アルス・エレクトロニカ・センターで開催されていたことである。会議室が狭かったこともあり、こちらの方が満員御礼状態。それに比べてシンポジウムの方は参加者はまばらだったのは、どういうことだろうか。

もちろん、ビジネス、カルチャー、グローバライゼーション、世界の様々な国々とその生活様式についての興味深いシンポジウムも多く開催された。また、あの9月11日の悲劇も大々的に扱われ、意見が交わされた。

アルス・エレクトロニカ・センターで開催されていた展覧会は、毎年大成功をおさめているもの。ゲームやインタラクティブなエレクトロニックデバイスや実験を紹介しているこの展覧会。その中でも、南アフリカ大学による増大した現実性についての作品は、興味がそそられるものがあった。

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