ロンドン&ブライトン ガイド DVD

THINGSText: Sachiko Kurashina

イギリスといえば、多くのクリエイター達が誕生し、精力的にその活動を発展している国。多くの人がそのクリエイティビティに感銘を受けていることだろう。そのイギリスを代表するクリエイターであるトマトレッド・デザインが、彼等の目線から見えるロンドンとブライトンの街を紹介しているのがこのDVDだ。

トマトのグラハム・ウッドとサイモン・オーエンスが案内しているのはロンドンのSOHOエリア。 トマトのオフィス(現在は移転)や作品だけではなく、彼等御用達のレコードショップやショップ等も紹介している。そして海辺の街ブライトンの案内役は、「FAT BOY SLIM」のジャケットデザイン等を手掛けたレッド・デザインのエド・テンプルトン。“クリエイターの街”と呼ばれるこのブライトンでは、ショップ紹介の他、スキント・レコーズの会社社長とのインタビューも折り込まれている。

そして今回、このDVDの制作を担当した蜂賀亨氏にお話を伺うことができた。実際に彼等と接し、自らの足で歩いたロンドンとブライトンを、蜂賀氏はどのように感じたのか?

まずはじめに、自己紹介をお願いします。

大学卒業後「ピエブックス」を経て、デザインをテーマに執筆・企画、編集などで活動。97年には雑誌「+81」を創刊。11号まで編集長として刊行したが、疑問や不満を感じて新しいプロジェクトを開始、現在に至ります。

今回、このDVD制作のきっかけは何ですか?

「+81」という紙メディアをやっていて、いろいろな意味で不満を感じるようになってきたから。そして映像メディアに新しい表現の可能性を感じたから。なので今回は「ガイドBOOK」ではなくて「ガイドDVD」を作りました。

このDVDで最もやりたかった事は何ですか?

DVDという商品パッケージにおいて、今までにないものを作りたかった。もちろん全てが斬新というわけではないかもしれないですが、私個人としてはこういったDVDパッケージは今まで見たことがないです。

コンセプト的には、映像にグラフィカルな付加価値をつけてどこまで面白くすることができるのか。そして単なる映像的な面白さを追求するだけではなく、そこに様々な情報を盛り込むことによって、ある程度役に立つ商品パッケージにしたかった。基本的にはドキュメンタリーです。作りものではない、脚本のない、リアリティとでも言ったらいいでしょうか。

また、 ロンドンは多くの注目すべき街、というのは周知のことですが、ロンドンの他にブライトンに注目されたのは何故でしょうか?

簡単にいうと、気になる多くのクリエイター達がブライトンという街に住んでいる、あるいは拠点としていたから。そして過去に一度訪ねた時にとても気持ちいい街だったから。夕方の海の景色がきれいでした。

以前、シフト13号で掲載された「+81」に関する蜂賀さんのインタビューを読んだ時に、「いま」という言葉を沢山使われていたのがとても印象に残っていました。「“いま”は、いったい何が面白いんだろう。デザインには“いま”がとても大切」。この「いま」を今回発売になるロンドン&ブライトンDVDに照らし合わせてみると、どのようなロンドンとブライトンの「いま」が見えてくるでしょうか?

世界中のどの都市・街も同じだと思いますが、ロンドンそしてブライトンという街は、けっして「いま」だけが面白いということはないと思います。自分が普段生活している街ではないので具体的には分からないですが。おそらく過去もそして未来も面白い街なのではないでしょうか。
でもそれは都市そのものが面白いという意味ではなくて、その街で生活している人々、活動している人々が面白いということなのだと思います。先程言ったように、今回は私が「いま」気になる人々の多くが、たまたまブライトンそしてロンドンにいたというだけで。他の人であればそれはそれで違う街を特集するでしょうし。
同じように東京にもパリにも沢山のクリエイターたちや、面白い人々がいると思います。なので現在は続編として「パリガイドDVD」をつくっています。パリも私にとっては面白い街のひとつです。

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