ICA デジタル・フェスティバル

HAPPENING


ICA(Institute of Contemporary Art)では、デジタルフェスティバル「WHAT DO YOU WANT TO DO WITH IT?」が行われている。

ICA にある4畳半くらいの小さな部屋にはコンピューターが約10台、椅子10脚が並べられている。監視員に「ここで作品が見られるのですか」と尋ねると、空いている席へ案内してくれた。
コンピューターはすでに我々の世代の大半が日常的に使用している。シフトの読者も24時間中、眠る時間よりも多くコンピューターと向き合って生活している人も多いであろう。今やもう展覧会に行こうと思ってもわざわざギャラリーに足を向ける必要もないのだ。なぜなら既に自宅や職場にあるコンピューターと繋がっているのだから。

現在のデジタルアートを確立した一任者でもある、マーク・アメリカの作品もその中の一つである。オンラインで彼の全ての作品を見る事が出来る。

しかし、ここでデジタルアートはコンピューターがあれば何処でも見られると思うのは、時代の後を追っかけている者の考えのようだった。ICA には2つの巨大なデジタルアートが設置してあった。暗い会場に入ると、映画か劇のセットのような一角が見られる。芝生がしかれ、道しるべや、アニメの世界にありそうなキノコが置かれたセットは丘の風景を表しているようだ。そのバックにはスクリーンが張られ、抽象的な画像がプロジェクターから映し出されていた。キノコを観察してみると、ただのキノコではなく大きなマイクということが分かった。スクリーンに「歌いなさい」と書いてある。私の友人がそれを読み、歌っているのか叫んでいるのが区別のつかない程の大きな声を発声した。すると、スクリーンに映し出された抽象的な木から沢山の枝がみるみるうちに生え、葉がつきだした。更にのどかな自然の音が聞こえ、黄色い鳥が何匹もその枝に止まった。

観客の歌により完成する画像はバラバラだ。やはり恥心を持たない、大きな声ほど立派な木が出来上がる。観客の力により完成した画像データは、作品の制作者のDIGITへ送信される。そしてここで完成した作品は、DIGITFEEDに出展されている。デジタルアートにはインタラクティブな要素の含まれる作品は多いが、この作品、タイポグラフィック・ツリー・インスタレーションは、観客の「努力」や「やる気」が必要とされる。現在私たちにとって楽な方向へと進む製品が高く評価されている。しかしこの穏やかであり、且つ人間が生まれつき持っている能力を発揮することにより生まれるデジタル作品は、未来はデジタルだけではないという事を再確認出来る。

自然とテクノロジーを語るこの作品の向かいにマイケル・アタバーの作品が観客を吸い込むようにスクリーンに映し出されていた。コンピューターとネットをフルに活用をしてどのような作品が作れるか。
VRMLというプログラムを使い創り上げたゲーム、SCIISは、プレイヤーの微妙な判断により全く異なるゲーム内容が起こる。プレイヤーが何もしなくてもゲームは展開して行く。夢の世界のようで冷えた風景や声は現実との境を感じさせるが、マウスをどう動かすかにより変化する作品も作者の「神の視点」を感じさせる。マイケル・アタバーのHTMLだけを使用した美しい詩のような作品も見どころだ。是非彼のサイトで詮索してみて欲しい。

ネット環境を考えて創られる作品はこれからもっと発展し、自分のコンピューターからネットアートを楽しめる時が来る事だろう。ロンドンの寒い冬にはピッタリだ!

WHAT DO YOU WANT TO DO WITH IT?
会期;2001年11月6日〜24日
会場:ICA, Institute of Contemporary Arts
住所:The Mall, London SW1Y 5AH
http://www.WhatDoYouWantToDoWithIt.com

Text: Natsume Shiroyama

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