キー・ボンド

PEOPLE

「トレンド・スポッティング」という職業は、最もエキサイティングかつ難しい職業のひとつだ。そんな移り変わりの早いトレンドにおいて、間もなく発売となる本をパリにて執筆中のスウェーデン人、キー・ボンドがいる。


キーには、数年前に僕がストックホルムの新しいビール会社の立ち上げの仕事をしていた時に出会った。彼女は、僕達のワークチームに加わり、若者のバイブと欲求をより良く理解する手助けをしてくれた。現在彼女は、ヘルムートラングや近年のディーゼルを手掛け、ストリートの動向調査で有名なパリのトレンドウオッチ会社 PROMOSTYL で仕事をしている。

『これまでに数多くのリサーチやインタビュー、エキシビジョン訪問などをしてきました。私の新しい本では、初期段階で流行がどのように表現されてきたか、また、なぜ人は「新しい物」を買うのかに始まり、消費者の動きの歴史に焦点を当てたものになる予定です。産業がどのように発達し、それが女性にとっていかにビジネスとして、また社会的文化的側面として重要となったかについて掘り下げていきます。』

彼女の仕事で最も印象的なのは、スキルと才能、商業主義、圧力と広告、機能と必要性、アートとデザインを理解するために、流行における違いを説明する彼女の類い稀なる能力だ。インダストリアルデザインにおいて、いかに流行が重要なものとなったか、ミルクひとつ買うにしても、今日の流行の動きが消費者を理解する上でいかに重要なものか。その身長165cmのスウェーデンの因襲打破主義者の身体には、社会的文化的歴史的なダウンロードがきっちりと詰めこまれている。

現在手掛けているプロジェクトについて教えて下さい。

今執筆中の本以外では、PROMOSTYL で仕事をし、様々なプロジェクトに関わっています。また、セミナーも主催し、会社のセミナーで話をしたり大学でレクチャーをする時には、独自の解釈を繰り広げています。昨年は、H&MやSAS、エリクソン、広告代理店などでセミナーを開催し、最近では、ノキアのカンファレンスに出席しました。

もう少し詳しく教えてもらえますか?

クライアントに依頼されて、詳しい研究やプロジェクトの展開について話をするのですが、残念ながらそういったセミナーは他言無用なので、教えることはできません。

エネルギーはどこから得るのですか?都市から都市へ移動し、詳細な調査をし、人と話をするのに多大な時間を費やしていると思うのですが。

常に充電はしているし、四六時中働いているわけではありません。私にとって家族、特に孫娘は大切な存在で、仕事以外で私をパリに引き止めておく唯一の理由となっています。それ以外では、読書をし、音楽を聞き、エキシビジョンに出かけ、いろいろな場所を訪れ、友人や新しい人達に出会い、哲学者の話に耳を傾け、カルチャーシーンを追い掛け、自分の精神と身体を癒しています。ヨガやダンス、数時間のウォーキングからもエネルギーを得ることがあります。自然、都市など、場所はどこでも構いません。最近、パリ市内を歩いていた時に、突然ピーター・ブロックスで有名な劇場、ブフ・ドゥ・ノルドまで歩いて行き、ハムレット現代版のチケットを手に入れようと思い付きました。予約もなしに他の楽観主義者達と一緒に列の一番後ろに並び、1時間後にやっと一番良い席を手に入れ、今まで見た中で最もファンタスティックなハムレットを見ることができました。若いアメリカ人が英語でハムレット役を演じていたのですが、彼を筆頭に出演者は皆最高で、この非常に特別な劇場でその演劇を見ることができたのは、まるでマジックでした。

日本とヨーロッパについてはどうですか?その2つの地で何が起こっているのですか?

「NO LOGO」という本の中では、『チープ&シック』に再びスポットライトを当てたノーブランドストア、ユニクロの現象について触れています。日本人は、グッチやルイヴィトンなどのブランドもいまだに高く評価していますが、財布にあまりお金を入れていません。また、基本となるものはブランド化される必要が無く、それがきちんとフィットしてかっこいいものであれば良いということを理解しています。これが、ユニクロがファッション業界で新しい動きとなっている理由です。イギリスにも間もなくショップがオープンする予定だそうです。日本のチープシック旋風が巻き起こることでしょう。

僕達がストロベリー・フロッグでやっていることについてはどうですか?

そうですね、まず破壊的な消費者社会について良く考えてみた時、私の哲学と信念は『ブランド指向と見栄』は、非常にトレンディーではないということです。将来的に私たちは、人間の価値を発展させ、おそらく自分自身よりも他者のことをより考え、現実(環境)にあえて直面し、幸せになるための勇気を得ることになるでしょう。また、最終的には、新しいテクノロジーとうまくバランスを取りつつ共存していくことになるでしょう。

それが、実際僕達のようなクリエイティブな広告代理店が考えに入れる必要があることなのでしょうか?一般大衆は、何を販売しているのかに関係なく、面白いコマーシャル/広告を好みます。つまり、ローマ人が気難しい大衆を楽しませるために、サーカスと拳闘を発明したということです。

道化で人を楽しませる時代は終わりました。若い「NO LOGO」世代が既に出現していて、くだらないものを消費することは望んでいません。それが彼等の未来なのです。

Text: Scott Goodson from Strawberry Frog
Translation: Mayumi Kaneko

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