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岩井俊雄+ばばかよ「ハッピー・テクノロジー・ラボ」

HAPPENINGText: Tomohiro Okada

『魅力的なメディア・テクノロジーを生み出す現場にいる研究者たちが持つ発想は常におもしろく、そこから生み出させるテクノロジーのデモンストレーションそのものがとっても魅力的なものになっている。そこで今、アートとテクノロジーの境目が分からなくなってきているのではないのだろうか』

メディア・アーティストの岩井俊雄は、テクノロジーの創造の現場にある発想力のおもしろさに着目し、その魅力を伝える試みを、漫画家のばばかよとのコラボレーションで「ハッピー・テクノロジー・ラボ」として、東京・原宿のギャラリーを舞台に展覧会を開催した。

『アーティストの立場から発想をかたちにしたテクノロジーの現実化というアプローチをした場合、一体、どのようになるのかというのをあたかも工学系の最先端技術の研究所の公開風景とおなじかたちで、取り組んでみたのがこの展覧会』と岩井氏は語る。

その背景には、創造の現場にある瑞々しい魅力も「研究者たちが生み出したおもしろさが、コンシューマープロダクトになって行くと、なぜかSF的なファンタジーや楽しい部分がそぎおとされて行って」しまい「結局エンドユーザーはそのそぎおとされたプロダクトで自分たちのオリジナリティーを出そうと努力する」というある種、残念な関係をアートの力でハッピーなものにしようというアプローチがある。

ラボで“公開”された作品たちを見てみよう。まずあるのは「小鳥フォン」。着信音の音色の高機能化によって様々な音色を出せる今、着メロでは無く、鳥呼び笛を作れるのではないかというもの。かわいいさえずりの着信音で小鳥が集まるという、人間同士だけでなく、動物ともコミュニケーションできるツールと携帯電話となるのか?

実際に作ってみた音色の電話にかけられるようになっていて、その様子を実際にシミュレートする仕掛けが作られていた。そして “研究所” 公開らしく、それぞれの “プロトタイプ” に関するパネルが展示されている。フォーマットは同じなのに、ただ大きく違うのは、ばばかよのイラストによって、そのアイディアと可能性を可愛らしく可視化していること。そのパネルのまわりには、プロトタイプへと向かうための絵コンテ案が同じくばばかよの手によって描かれその素の可愛さにさらに目が行くのであった。

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