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スーパーフラット展

HAPPENINGText: Chibashi

『日本は世界の未来かもしれない。そして日本のいまは SUPER FLAT。』

村上隆による「SUPER FLAT(スーパーフラット)宣言」は、このような書き出しからはじまっている。そして同名の展覧会が、村上氏のキュレーションによって4月28日よりパルコギャラリー(渋谷パルコ パート1/8F)で開催されている。(この宣言は、同展にて発売中の「SUPER FLAT VISUAL BOOK」に掲載)

村上隆, スーパーフラット, Takashi MUrakami

この展覧会では、今まで同じ会場では展示されることなど考えられなかった、多様なジャンルの作家達がひとつの空間に集結している。しかもそれぞれの作家の作品は点在し、他の作家の作品と交錯した配置になり、壁面は赤・青・緑などの原色に塗り込められていたり、ラメが張り付けられ虹色に光っていたりする。従来の「アート」の展覧会では、こんなハチャメチャなプレゼンテーションは考えがたい。

今回のスーパーフラット展では、まさにその逸脱した空間の中に、新しい提案が込められているのだ。

それでは「スーパーフラット」って、一体なんなのだろうか。先の宣言文には『社会も風俗も芸術も文化も、全てが超2次元的。この感覚は日本の歴史の水面下を澱みなく流れつづけ、とくに美術にわかりやすく顕在化してきた…』とある。

“スーパーフラット” は、学校(美術教育)でも、社会でも、教えてはくれなかった、「日本人のオリジナルな文化」を読み解くための新しいコンセプトなのである。例えば日本の美術教育では、学生は石膏デッサンを描き、透視図法を学び、西洋の「美術」を取り込むことを繰り返してきたが、日本画に見られる2次元的な空間構成の感覚は、西洋化を進めてきた明治維新以来の日本から、忘れ去られてきたのである。しかし、ゲームやマンガ、アニメなどの「歴史の水面化」とされてきたカルチャーの中では、その感覚が見事に引き継がれていたのだと氏は指摘している。

そしてもちろん今のグラフィックやデザイン、映像や音楽の流れの中にも、同様に「超2次元的」な感覚を読みとることができるのである。

こうした感覚について、村上氏はこう語っている。『…そのフィーリングを説明すると、例えば、コンピュータのデスクトップ上でグラフィックを制作する際の、いくつにも分かれたレイヤーを一つの絵に結合する瞬間がある。決してわかりやすいたとえではないが、そのフィーリングに、私は肉体感覚的にきわめて近いリアリティを感じてしまうのだ…』とある。

まさにこの展覧会では、今まで違うレイヤーに属していたカルチャーが、村上氏の手によってひとつに結合されている。さらに結合された空間は、見事に拒否反応を起こすことなく、リアルな今を断片していると僕は感じた。美術館やギャラリーが「アート」という枠組みで作品を陳列してしまうことの方が、今ではむしろ違和感があるということを、逆説的に僕たちに投げかけているかもしれない。展覧会を見たあとの渋谷の風景も、おのずと “スーパーフラット” な風景に見えてくるではないか。

西洋から輸入した価値観や枠組みからでは、決して読み解くことができなかった、日本人のためのクリエイトを読み解く鍵が “スーパーフラット” であり、その試みは未来に向けて、今、はじまったばかりなのである。スーパーフラットは、何か完成した哲学というのではなく、この会場に訪れた人が、それぞれに自分の暮らす日本のカルチャーについて振り返り、そして、新たな気持ちでものづくりを始めるための、リセットボタンなのかもしれない。

自分のことって、一番分かっていなかったりするものだ。そんな自分探しのきっかけとなる一歩が、そこにはある。GWの予定がまだ埋まってないという人はもちろん、アート好きなクリエイターは、是非この現場を目撃してほしい!会期は5月いっぱいだ。

参加アーティスト:佐内正史、鈴木親、HIROMIX、青島千穂、大井成義、タカノ綾、中ハシ克シゲ、奈良美智、Mr.、村上隆、竹熊健太郎、弐瓶勉、町野変丸、森本晃司、ボーメ(海洋堂)、グルーヴィジョンズ、sleep、ヒロ杉山、中川正博(20471120)、ZAK

村上隆キュレーション/スーパーフラット展
会期:2000年4月28日〜5月29日(会期中無休)
時間:10:00〜20:30
会場:パルコギャラリー(渋谷パルコ パート1/8F)
http://www.hiropon-factory.com

Text: Chibashi

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