ナムジュン・パイク回顧展

HAPPENING

ニューヨークのアッパーイーストサイドにあるグーゲンハイム美術館に足を踏み入れた時、「これこそがエキシビジョンのあるべき形だ」というのが率直な感想だった。
目も眩むばかりのまぶしいビデオインスタレーションがずらりと並んでいて、ナムジュン・パイクがフランク・ロイド・ライトの建造物を全くユニークでマルチメディアなものに変えてしまっていた。
多くの人達、特に観光客がこの建物を見るために訪れていたが、パイクの圧倒的な作品郡が並外れたものを醸し出し、今回のショーを近年で最高にものにしていた。
パイクはまず、1階の「同調の中の変調」(写真左)と名付けられたインスタレーションで来場者を驚かせた。

円形の建物の中央では、レーザービームが美術館の中心を撃ち抜き、フロアーから7階建ての高さの天井に至る全ての方向にダイナミックな幾何学模様が投影されていた。「ジェイコブの梯子」と名付けられた別のレーザーインスタレーションでは、緑色のレーザービームが天井から滝のように落ち、美術館を貫いていた。

同じフロアーでは、海の映像を映し出すテレビモニターが観客の目に飛び込んでくる(写真上)。次々に姿を変える魅惑的な映像が映し出され、円形広間のらせん形フロアーいっぱいに反響していた(写真下)。このエキシビジョンに足を踏み入れて数分のうちに観客は、ナムジュン・パイクの奇妙だが素晴らしいビデオ世界に夢中になってしまった。

50年代後半から60年代前半にかけて常にビデオとパフォーマンスアートに第一線で活躍していたパイク。
今回の回顧展では、パイクのコラボレーターであるクラシック出身のチェロ奏者、シャルロット・ムーアマンのために制作された 「TVチェロ」などの 歴史的で有名な作品も展示されていた。らせん状のフロアーでは、20個以上のモニターで構成された「ビデオフィッシュ」という作品も展示されていて、モニターの前には生きた金魚(残念ながら死んでいたものもいた)が入った水槽が置かれていた。

パイクの最も驚くべき点は、彼の作品の時代超越性だ。
30年前、 彼のアートは 過激でアバンギャルドだとされていたが、今もこれからも、彼は芸術表現における錬金術師であり続けるだろう。

本当のパイオニアというものは、彼らが生きた時代に関係なく常に新しい分野を切り開くことができる人なのだ。ナムジュンパイクは、彼もそのひとりだということを証明している。

Text and Photo: Rei Inamoto From Interfere.
Translation: Mayumi Kaneko

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