スパイクとマイクの病的でねじくれたアニメーションフェスティバル 1999

HAPPENINGText: Kanya Niijima

90年代前半に全米を風靡したMTV発の番組「Beavis & Butthead」(ビーバス・アンド・バットヘッド)。日本のアニメに比べて、ラフなアウトラインが特徴のこのキャラクターをプリントしたTシャツを見かけた人も多いことだろう。一般のTV局ではセンサーされそうな、クレイジーな内容が人気だったこのアニメを、MTVがオンエアーを開始する以前に既にプッシュしていたショーがあった。

今回紹介するフィルムフェスティバル「Spike and Mike’s Sick & Twisted Festival of Animation」(スパイクとマイクの病的でねじくれたアニメーションフェスティバル)である。タイトルが示すとおり、テイストレスで品のない内容、放送コードにずばりひっかかるようなアニメ作品だけを集めたこのショーは、サンフランシスコを始め、50以上のメジャーな都市で毎年開催される、知る人ぞ知る“裏アニメ”フェスティバルなのである。


“Tongue Twister” by Collideascop Digital Productions. Directed by Sean Scott

今ではアニメ産業において、最も異端的なステータスを誇るこのイベント、その歴史は意外に古く、70年代に創立者のスパイク&マイクのコンビにより、ロサンゼルス近辺のアンダーグラウンドなバンドをプロモートするのを目的とした会社、「Mellow Manor Productios」を設立したのが事の始まり。

バンドのライブとカルトムービーの上映を合体させるという斬新なイベントで、当時のロサンゼルスキッズの間で株が上昇したのも束の間、たまたまフィーチャーしていた短編アニメの方が、バンドのギグよりも人気が出てしまい、しだいにアンダーグラウンドなアニメーションだけを紹介していく環境を造りあげていった。

これまでに、数多くのカティングエッジな作品をプロモートして今日に至っている。 最近では、今年全米でブレイクした、“危険な子供”向けテレビアニメ、「South Park」(サウスパーク)のオリジナル作品を誰よりも先取りして公開したりと、トレンドセッター的な役割も相変わらず好調である。センサーが全く入ってないこのオリジナルバージョンでは、「fxxk」、「sxxt」などの4文字ワードが、一体何百回でてくるのだろうか。


“Home, Honey, I’m Higher: What You Should Know About Drugs”
Produced by Spike & Mike, Story by Matt Davis , Animation by Dan Dudley


“Swing Sluts” by Brett Johnson. Produced by Spike & Mike

今年のショーは10月から既に始まっており、ベイエリア周辺の5つの映画館とミュージアムで12月の半ばまで開催される。会場では、風変わりなコスチュームと奇声を発する観客達でいっぱいになり、ランチキ騒ぎ同様のクレイジーでハードコアなパーティーに様変りする。オープニングでは、1メートル程の巨大なバルーンの数々が客席に放り投げられ、オーディエンスを巻き込んでの「ビーチボールバレーセッション」で幕が上がる。ステージでは、マスコット犬である「シュレディングワンダードッグ」が所狭しと走り回り、会場にセットされた風船や箱等を次々に噛み切りだす始末。コントロールされていない狂気に満ちた中で、20点におよぶ超過激なアニメの最新作が上映されるのであった。この限りなくくだらない面白さ、アニメファンじゃない人も確実に感染するだろう。

Spike & Mike’s Sick & Twisted Festival of Animation ’99
会期:1999年8月8日〜12月16日
会場:Landmark’s UC Theatre、Palace of Fine Arts、Landmark’s Lumiere Theatre
https://spikeandmikesfestivalofanimation.vhx.tv

Text: Kanya Niijima

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