佐伯 仁

PEOPLEText: Mariko Takei

家具をはじめとするプロダクトやインテリアデザインの近年の流れとして、ヨーロッパの元気のよいデザイナーの活躍が目立ち、数年前から日本でも話題を呼んでいる。ドローグデザインやインフレイトといった、パワー溢れるデザイナーをいち早く日本に紹介したのが、原宿にあるハウスウェアプロダクトギャラリー、TRICO INTERNATIONAL(トリコ・インターナショナル)を主宰する佐伯仁だ。

自らも家具やインテリアなどのデザインに携わりそして昨年に続き今年も10月に行われる家具・プロダクト・インテリアのイベント「HAPPENING」(ハプニング)をオーガナイズするなど、常にデザインシーンに触れてきた佐伯氏に、「HAPPENING」のことや現在のシーンについてお話を伺いました。

佐伯さんの現在の活動について教えてください。

原宿にある、トリコ・インターナショナルを主宰しています。トリコはショールームと事務所を兼ねたショップで国内外現代デザイナーのエージェントとして、ドローグ、インフレイト、エル・ウルティモ・グリート等を日本に紹介しています。

ハプニングに関しては、AIRCONDITIONED(エアーコンディションド)というユニットのメンバーとして関わっていて、オーガナイズしています。僕以外に主要のメンバーは3人。プラスあとはプロジェクトごとにユニットを形成していくようなものです。

お店の内装のプロジェクト、店のウィンドウのディスプレイとか、あとグラフィック、広告もやります。デザインという切り口で考えられるものはわりと幅広くやっています。

あまり平面的な考え方ではなくて、プロダクトデザイン、インテリアデザインという切り口でやっています。ハプニングもある意味、エアーコンディションドのひとつの作品という位置付けでやっています。

主催者である佐伯さんご自身からハプニングについてお話していただけますか?出展者が各自で出展する場所(カフェやショップ)を確保し、その空間ごとデザインするということですが、

基本的にプロダクト、家具のデザイナーやインテリアデザイナーが主体となって、その期間中、青山、原宿、渋谷、代官山のエリアでショウをやるというものです。

個々のデザイナーのショウの集まりが、ハプニングという展覧会になっているという考え方なんで、エアーコンディションとしては全体のその最低限の環境を整えるだけであって、それ以上はあまり個々のものには口出しするということも必要ないと思っていて任せています。逆に言うとあまりこっちに頼るなと・・。

でもある程度はマスコミが注目したり、いろんなチャンスがあったりという機会はつくってあげるから、その期間にちゃんとやればいいなと思ってます。日本だとそういう機会もなかったですし、そういうことをここでやろうというパワーも割りと若い人達になかったので、そういうお膳立てくらいはしてあげようかなと。

ハプニングは出展する上で今まであるような参加料を支払うということもないですし、ある程度自分の思い通りにできるということは逆にすごくチャンスではありますよね。

そうですね。よくある公募展とかだと決まったテーマがあったり、決まったなんとかの中で選ばれた作品が他の応募者と一緒に並ぶという。そういうものではなくてデザイナーのプレゼンテーションというかたちで考えています。また普段の景色のなかに作品を置く事によって、もっと身近に感じられるというか。基本的にプロダクトや家具なんで、アートとは違う世界なんで、身近に使うべきものだから、そういう感覚で見せたいというのはありますね。

去年から始めたということですが、ハプニングを始めた経緯は?

自分たちも普段デザインをするので、デザイナーの立場に立って考えたときに、日本にそういうショウをやるような機会がない、チャンスがない。だったら何か自分たちでやるしかないねっていうことです。それで、自分たちでやってしまったと。

あと、ある意味がんばれよと。日本だとどうしても企業に属しているインハウスのデザイナーのような人ばかりで、例えば大学を出てもそのまま自分たちで活動する人が比較的少なくて。この1、2年増えてきているんですよ、それでもなんとか好きなことやって、ちゃんと好きなものをデザインしてということができるんだという人たちも。会社に入ってしまうとどうしても違うデザインじゃないですか。売れるためのデザインだったりとか。基本的にその中から出てきてるデザインというのはまた違うから。

イベントの中で一般のコンペ作品展示の他にドローグやインフレイト、エイチデザイン等という国内外からのデザイナーの招待参加展示があるということですが。

将来的には世界と同レベルで日本のデザイナー達や若手のデザイナー達も世界の中でちゃんとやっていけるような環境にならないかなという。それで海外で活躍している若手の人たちと(日本の)そういう人たちも肩を並べてできればいいということなんです。だから、単なるアマチュアの学祭みたいなただのお祭りというような事はしたくない。そういう意味ではちゃんとしたことをやっている人たちを「招待」というかたちで入れることによって、彼等の作品をみたりというチャンスが生まれる中で(コンペ参加者も)奮起していいものを創るだろうと。

去年と今年で何か違ったこととかありますか?

今年はもう知られているということが大きな違いですね。去年は初めてで何も知られていないから、「なんだそれ?!」っていう。ハプニングのことは知らないけど僕らのことはこういう業界でチョロチョロしてるから知ってるけど、じゃあ佐伯くんが何かやってるなら面白そうだねっていう感覚だけだったんです。今年はハプニングというものがちょっと知られているんで、とてもある意味やりやすいですね。ある意味で責任感も感じたりしますが。

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