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ノーフロンティア

PEOPLEText: Mayumi Kaneko

今月のカバーデザインを製作したのは、オーストリア、ウィーンのニューメディアカンパニー「ノーフロンティア」のマウリッチオ・ポレットとフローリアン・コッホの2人。これまでに多くの才能のあるアーティストを輩出しているノーフロンティア。その活躍はSWATCHやLEGOを始め、数々のクライアントワークで目にすることができる。それほどまでにクライアントを魅了する秘訣は何なのだろうか?ノーフロンティアの活動などについて2人にお話を伺いました。

まずはじめに、自己紹介をお願いします。

フロー:フローリアン・コッホ。ミュンヘン出身、25歳。広告会社で働いた後、シュヴェービッシュ・グミュントのデザイン学校でビジュアルデザインを学びました。シュヴェービッシュ・グミュントは、南ドイツのそんなに大きくない街だけど、すごくいい大学がある街です。学生時代に半年間ノーフロンティアで働く機会があって、卒業後にまた戻って来ました。ノーフロンティアではメディアデザイナーとして働いています。イラストレーターとしての仕事をする時もあります。

マウリ:マウリッチオ・ポレット、25歳。僕は、13才くらいの時からグラフィックデザイナーになろうと思っていました。僕の母がランチの後に毎日見ていたアメリカのドラマに、会議のためにグラフを作成する仕事をしているキャラクターが出ていて、その当時僕はそれがグラフィックデザインというものだと思ってました。複雑そうな仕事じゃなかったけど、シンプルな線と形を描いているのがとても面白そうに見えて、それでデザインの大学に進みました。大学卒業後はイタリアの古い街ウルビーノにあるグラフィックデザイン学校に入学しました。そこでは主にエディトリアルデザイン、イラストレーション、フォトグラフィーをやっていました。そこで、世界中から来た沢山の人達と出会い、その中にはウィーンのノーフロンティアデザインの共同設立者アンドレア・ステンフルもいて、卒業後にウィーンに来て今ここで働いています。

最近の活動について教えてください。

マウリ:今は毎晩、星や夢や愛についての曲を書いてるシアトル出身のバンドのためのデザインをしてます。日中は、この世のものとは思えないようなミーティングが沢山あって、美術館を感情あふれるインタラクティブなものにする努力をし、新しいノーフロンティアブックのための精神的鍛練をし、コーヒーを沢山飲んで、メールを読んだり送ったりし、みんなといっぱい喋って(たぶん喋りすぎ)、コード*4で電話をし、ランチに行って、ケンカして楽しんで、音楽をプレイします。あとは時間がある時にデザインをしてます。

フロー:ドイツ銀行のCD-ROMが終了したばかりで、もしマウリとこのカバーをやってなかったら、美術館と本のプロジェクトを除けばウェブサイトやアニメーションやビデオのことを考えながら過ごしていた予定です。

ノーフロンティアの活動について教えてください。

マウリ&フロー:今ノーフロンティアは面白いプロジェクトをいくつか抱えています。ジークムント・フロイトのCD-ROMプロジェクトを長い間やっていて、ちょうど終了したところです。夏の終わり頃には発売される予定です。今はウィーンのユーデンプラッツにある新しい美術館のための斬新でインタラクティブなものを製作中です。そこではマウスやキーボード、スクリーンなしで、光や音、ユーザー間の相互作用を使用した感情豊かで直感的なインタラクティブ性を持った新しいテクノロジーを使うことができるようになる予定です。

ノーフロンティアの建築チームは今、ノーフロンティアのスタジオを拡張するために一生懸命です。それと平行してメディアの「言語」と建築の混合、結合したデザインアプローチを発展させる為に頑張ってます。他の人との対話はプロジェクトを複雑にするけど、最終的にはさらに実りのあるものにしてくれます。そしてついに「ノーフロンティアブック1999」が、この10月にフランクフルトのブックフェアで発表されます。この本を本当に完成させたいと思ってるし、今現在それを実現させる為にすごく一生懸命やってます。様々なプロジェクトや実験、アイディア、メディアテクチャーの新たな発展、インターフェイスデザインを通して、その本は過去3年間のニューフロンティアワールドへの旅です。いろんなことが同時発生する場所で起こったことが集約されています。

マウリ:僕らはちょっと異様な場所で働いているんです。全く違う人たちが出会い、コミュニケーションする場所です。僕らはそれぞれ別の個性、センス、先入観、教育、経験、専門職、夢、国籍、アイディアを持った人間です。たぶん僕らはひとつのことを共有しているんだと思います。それは特別なアイデンティティの集合体を経験することで、それ自体は一人一人の個性の中でだけでなく場所自体の個性を通してもはっきりしてない存在なのです。空間的なアイデンティティです。

フロー:ノーフロンティアで働くことはすごくいい経験になるけど、もしいろいろなメディアやスタイル(テレビジョンや、もっとコアなインフォメーションデザインなど)に興味があるなら、一つの場所にいるのは難しいと思います。そのことがノーフロンティアが評価される理由だと思います。この機会を逃したくはないけど、新しいものを得る為に間もなく違う国に旅立つ予定です。

マウリ:ここには、沢山の人がいるけど、何人いるかは正確に言うことができません。いろんな人が去って、新しい人も沢山入って来ます。まるで列車の駅みたいに。そう、ここはデザイン列車の駅なのです。

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