佐藤雅彦展 新しい × (作り方+分かり方)

HAPPENINGText: Alma Reyes

佐藤雅彦研究室の活動を紹介する展示室では、訪問者はインスタレーションや映像を通じて認知科学、計算機科学、抽象化とメカニズム、運動計算、数学、アルゴリズム的表現の応用を体験する。一部の映像では佐藤自身が講義する様子が映し出される。ロトスコープと呼ばれるアニメーションの手法を発展させて作り上げた映像作品「ballet rotoscope」(2011年)では、撮影したバレリーナの動きを正確にトレースし、そこからダンスの軌跡を描いた曲線や、数理的な手法で生成されたアニメーションを抽出し、合成している。実写映像とアニメーションが相互に関係し合い、バレエが本来持っているものとは異なる、新しい美しさを持つ表現を目指した。


ballet rotoscope、2011年

佐藤の著名な著作が並ぶ壁面は、研究と教育における彼の幅広い業績を物語っている。ホールには、コダック、グリコ、ナビスコといった人気商品を扱った「勝手に広告」の作品が展示され、視覚的な調和とユーモアを同時に用いて製品のイメージを創造的に再構築した表現者の手腕が窺える。例えば、緑の牧草地に牛乳石鹸(カウブランド)の箱が散らばっている。


佐藤雅彦+中村至男「勝手に広告」牛乳石鹸の群れ、2003-2005年、撮影:ホンマタカシ(佐藤雅彦展 新しい × (作り方+分かり方) 展示風景より) Photo: Alma Reyes

グランドギャラリーで「計算の庭」が展開されている。東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻教授の桐山孝司と共同で構想されたこのインスタレーションは、訪問者に6つの番号付きゲートを通り抜けながら計算を行うよう促す。訪問者は自身が数となりゲートを通過するたびに変化する計算を体感することになる。


計算の庭(桐山孝司との共作)森美術館「六本木クロッシング2007」展示風景

この思考を刺激する展示は、コミュニケーションデザインに不可欠な指針として、佐藤の有名な言葉『作り方が新しければ、自ずとできたものは新しい』を真に体現している。

横浜美術館リニューアルオープン記念展
佐藤雅彦展 新しい × (作り方+分かり方)
会期:2025年6月28日(土)〜11月3日(月・祝)
開館時間:10:00~18:00(10・11月の土曜日は20:00まで)
休館日:木曜日
会場:横浜美術館
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
TEL:045-221-0300
https://yokohama.art.museum

Text: Alma Reyes
Translation: Saya Regalado

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