デザイナート トーキョー 2024

HAPPENINGText: Taketo Oguchi

六本木エリアでも数多くの展示が行われていた。東京ミッドタウンでは、「デザインを五感で楽しむ」をコンセプトに、2007年から開催しているデザインの祭典「DESIGN TOUCH」が開催。これはデザインの魅力や可能性を誰もが身近に体感できるイベントで、本年は、「つむぐデザイン-Weaving the Future-」をテーマに、デザイナート トーキョーからは国内外の第一線で活躍する3組のクリエイターの作品を展示。


竹下早紀「Eeyo(イーヨー)」(東京ミッドタウン)© KOHEI YAMAMOTO

UNDER 30に選ばれたプロダクトデザイナー/プロデューサーの都淳朗と、UIデザイナーの太田壮によるクリエイティブ・ユニット AAAQ(エーキュー)は “光弾性” と呼ばれる目には見えない秘めた力を鮮やかに可視化する現象を利用し、負荷によって生まれる光のテクスチャを鑑賞する作品「Visible Stress」を発表。同じく、UNDER 30に選ばれたデザイナーの竹下早紀は、世界一軽い木材として知られるバルサ材を染色し、200度近い熱風を当てて色を変化させ、グラフィカルに展開した作品「Eeyo(イーヨー)」を発表。若田勇輔は、47都道府県のご当地の果物や食品の廃材をアップサイクルし、新しいプロダクトに生まれ変わらせるプロジェクト「RE 47 CRAFTS」を発表。アップサイクルした素材で地方の職人や生産者と協業しながら伝統工芸品をリデザインした。


nendo「花嵐 Hana-arashi」(Paola Lenti Tokyo)© KOHEI YAMAMOTO

パオラレンティが2022年に発表した「Mottainai(もったいない)」プロジェクトの第2章として、自社ファブリックを使った最新コレクション「花嵐 Hana-arashi」のインスタレーションをパオラレンティの東京ショールームで展示。このプロジェクトために、東京とミラノに拠点に活躍する佐藤オオキを中心に設立されたデザインオフィスnendoが招聘され、廃棄処分されるはずの生産残材に機能と美的価値を回復させ、新たな命を吹き込んだ「花嵐」シリーズのファニチャーが誕生。


梶谷拓生「CONSENTABLE」(AXIS Gallery)© Nacása & Partners

アクシスビルの4階に位置するアクシスギャラリーで開催された展覧会「Woodwork」では、家具やインテリアの素材として欠かさせない『木』をベースにした作品が一堂に介した。建築家・デザイナー鬼木孝一郎による Oniki Design Studio (ODS) は、日本の組子技術を発展させ、立体的に組み付けた「Forêt(フォレ)」の新作コンソールテーブル、ローテーブルを展示、また、梶谷拓生の CONSENTABLE(コンセンタブル)は、コロナ禍の在宅勤務で感じた運動不足から、「座る=休む」ではなく「座る=鍛える」へ発想転換した座面がゆれるスツールなどを展示。山本真也は、「やぼったいけど、愛おしい。」をテーマに、素朴だけどキャッチーなフォルムと素材・質感から醸し出す雰囲気をプロダクトとオブジェの中間的な表現で家具に落とし込んだ。前田圭悟と山口雄作によるデザインユニット tossanaigh(トッサネ)は、使い道が決まらないまま眠っている林地残材を活用したサスティナブルなダイニングテーブルを展示するなど、進化する技術とデザインにより新たな木の魅力を改めて感じる集合展となった。

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