KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023
HAPPENINGText: Amelia Ijiri
Coco Capitán “Ookini”, With the support of LOEWE FOUNDATION and HEARST Fujingaho , ASPHODEL ©︎ Takeshi Asano – KYOTOGRAPHIE 2023
ココ・カピタンはKYOTOGRAPHIEのアーティスト・イン・レジデンスとして3か月間京都に滞在し、制服を着た学生や公園のスケーターといったティーンエイジャー、修行僧、舞妓の仕込みを写真に収めた。初めて3つの会場で催されたこのプログラムでは、大西清右衞門美術館が会場として門戸を開き、来場者を釜造りの世界に誘った。ココ・カピタンは、大西家の若き子息を写真に記録している。子息は大西家に400年伝わる、質の高い茶の湯釜造りの技術と真髄を会得中である。
Roger Eberhard “Escapism”, SHIMADAI GALLERY KYOTO ©︎ Kenryou Gu – KYOTOGRAPHIE 2023
他のプログラムを紹介しよう。世界報道写真展「レジリエンス──変化を呼び覚ます女性たちの物語」では、隔離された応援席からサッカーを観戦するイラン人女性や、性暴力を防ぐために胸を平らに潰されたアフリカ人女性の写真が展示された。コーヒークリームの蓋の一部を撮影して巨大に引き延ばした作品を展示したのは、ロジャー・エーベルハルトの「Escapism」。山田学の「生命 宇宙の華」は、世界最古のシャンパーニュメゾンであるフランスのルイナールを訪問した際の色鮮やかなイメージを、回転する万華鏡のように表現した作品の展示。パオロ・ウッズとジャーナリストのアルノー・ロベールは、製薬業界をテーマに5年間にわたって世界を旅した。彼らのプログラム「Happy Pills──幸せの薬──」では、うず高く薬が積まれたバケツを担ぐ露天商、即席の路上薬局、ステロイドを摂取するインド人ボディービルダー、経口避妊薬を服用するペルー人のティーンエイジャー、バイアグラを服用するイタリア人のジゴロ、アメリカでのアデロール使用に関する写真が展示された。
Paolo Woods & Arnaud Robert “Happy Pills”, With the support of the Embassy of the Kingdom of the Netherlands and the Embassy of Switzerland in Japan, Kurochiku Makura Building 2F ©︎ Kenryou Gu – KYOTOGRAPHIE 2023
今年の京都国際写真祭では、政治的な境界線、人権の境界線、感情面での境界線、ジェンダーの境界線、微妙な境界線が探究された。私たちを取り巻く境界線に考えを巡らせた時、どのような人間の条件なら受け入れられ、どのような条件なら除外されるべきなのだろうか。
12回目を迎える次回の開催は、来年4月13日から5月12日の予定。
KYOTOGRAPHIE 2023
会期:2023年4月15日(土)〜5月14日(日)
会場:京都文化博物館 別館、誉田屋源兵衛、京都芸術センター、大西清右衞門美術館、嶋臺ギャラリー、ホソオ・ギャラリー、世界倉庫、東福寺塔頭 光明院、二条城 二の丸御殿 台所・御清所、両足院など
主催:一般社団法人 KYOTOGRAPHIE
https://www.kyotographie.jp
Text: Amelia Ijiri
Translation: Yu Fukai
Photos: Takeshi Asano and Kenryou Gu, Courtesy of KYOTOGRAPHIE