古典×現代2020ー時空を超える日本のアート

HAPPENINGText: Sophia Sloan

しりあがり寿は、北斎の「冨嶽三十六景」(江戸時代・19世紀)をパロディにした作品を並べて紹介している。「ちょっと可笑しなほぼ三十六景」(2017)は、ドローン、サラリーマン、カミソリなどの遊び心のある現代的な要素を用いて、北斎の江戸時代の原風景によく似せている作品だ。



上)葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》江戸時代・19世紀 和泉市久保惣記念美術館
下)しりあがり寿《ちょっと可笑しなほぼ三十六景 太陽から見た地球》 2017年 作家蔵

伝統的な日本刀と隣り合わせに置かれた鴻池朋子の作品のように、二者の関係性が必ずしも明確ではないものもある。鴻池の「皮緞帳」(2015)は、高さ6メートル、長さ24メートルの牛革を縫い合わせて絵画に適したキャンバスにしたもの。武器であると同時に、便利な道具でもある刀と鴻池の作品との関係性を考えさせられる。


鴻池朋子《皮緞帳》2015年 高橋龍太郎コレクション © Tomoko Konoike

展示や作品間の関係性が統一されていないことが、今回の展覧会の最大の強みの一つでもあった。「古典×現代2020ー時空を超える日本のアート」は、過去が現在にどのように関係しているのか、またその逆はどうかを、様々な方法で伝えてくれる。作品の構成や解説は、観客を展示の中に誘導し、作品をより多層的に読み込むことを可能にしてくれていると言える。

古典×現代2020―時空を超える日本のアート
会期:2020年6月24日(水)~8月24日(月)※会期中、一部作品が展示替
時間:10:00~18:00(火曜休館)
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
入場料:一般1,700円、大学生1,100円、高校生700円 ※原則事前予約制
TEL:03-5777-8600
https://kotengendai.exhibit.jp

Text: Sophia Sloan
Translation: Satsuki Miyanishi
Photos: Courtesy of the artist, The National Art Center, Tokyo

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