ピエール・スーラージュ回顧展

HAPPENINGText: Stephanie Bui (The Daily Couture)

100歳になり、今なお現役で活動しているスーラージュの展示は、初期に考えていた「どうやったら画家が、黒色で、光をもたらすことができるか?」という問いに答えたものだった。赤や青を使ったものであっても、彼の作品は、彼が1979年に提唱した「ウートル・ノワール(黒を超える黒)」を象徴するものであった。しかし、この言葉そのものは、絵のコンセプトとしては使われたことはない。スーラージュは、絵ありきで描くのではなく、神秘主義のように、溜め込まれていた直感的なクリエイティブを頼りに描いていく。彼の不思議で神秘的な探究を称賛し続けたフランス人作家/詩人のクリスチャン・ボバンが、スーラージュに捧げて2019年に出版した「ピエール」は、彼の画家としてのエゴを変えたのは言うまでもない。


Pierre Soulages, Painting, 162 x 127 cm, April 14, 1979. Montpellier, Musee Fabre © Archives Soulages © ADAGP, Paris 2019

1979年以降、スーラージュの作品は、全ての作品に黒と光のコントラストをもたらすことで、黒という概念を変える果てしない旅に見る者を巻き込む。その手法は、グレイ、シルバー、マットもしくは輝きを出すために、重ねる、擦る、染料をあてるなど様々だった。そして記念とも言える作品は、最近仕上げた3メートルを超える大作。100歳近くになって仕上げた作品とは思えないほど、壮大でまさに極めたものだ。


Pierre Soulages, Painting, 22 x 314 cm, February 24, 2008. Acrylic on canvas. Paris, Pierre Soulages © Archives Soulages © ADAGP, Paris 2019

スーラージュが最初にルーヴル美術館を訪れたのは、彼がロデスという故郷からパリに来た1946年のこと。ルーヴルを訪れたきっかけは、美大の教授になりたかったからだという。キュレーターは、本展示でのスーラージュの気持ちをこう語る。『自分の生涯の旅に敬意を示してくれたことに大喜びしている』と。ハッピーバースデー!スーラージュ!

ルーヴル:スーラージュ回顧展
会期:2019年12月11日(水)〜 2020年3月9日(月)
開館時間:9:00〜18:00
会場:サロン・カレ、ルーヴル美術館
住所:Rue de Rivoli, 75001 Paris, France
入場料:€15
TEL:+33 (0)1 4020 5317
https://www.louvre.fr

Text: Stephanie Bui (The Daily Couture)
Translation: Ayumi Sugawara
Photos: Courtesy of the artist © Archives Soulages © ADAGP, Paris 2019

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