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シルバニアファミリー・ビエンナーレ 2017

HAPPENINGText: Kengo Michizoe

アメリカのカントリー調世界観を軸にしたドールハウス「シルバニアファミリー」をギャラリーに見立て、空想の展覧会をミニチュアで実現する企画展「シルバニアファミリー・ビエンナーレ 2017」が、1月22日から2月19日まで、東京巣鴨の「XYZ Collective」にて開催された。本企画展では12名のアーティストと1組のコレクティブによって、他のアーティストの作品を題材に、それぞれのシルバニアギャラリーが展開された。

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「Clear Vision」磯谷博史

磯谷博史の「Clear Vision」は、米国盗難美術品データベース内にあるデータを元に、現在、世界で盗難に遭い所在不明になっている作品を、そのデータからさらにイメージを盗用し、ドールハウスの中に配置している。配置されている作品はタイトルにあるブルース・ナウマンの「Clear Vision」をはじめ70点にも及ぶ。

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「Clear Vision」磯谷博史

本作品では三つの「盗む」という行為が表現されており、一つ目は物理的に「盗む」ということ、二つ目は思考や概念、盗作や著作権に及ぶ「盗む」ということ、三つ目は模倣やシミュレーショニズムなど、制作方法としての「盗む」ということだ。今となっては実現不可能な夢のような展示だが、犯罪の展示、証拠品の展示とも言える陳列と牧歌的なシルバニアの家の対比が異様な雰囲気を漂わせている。

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「Robert’s box, Tracy’s tent and Ameya’s white cube」井出賢嗣

人はどこかに籠ると変な気持ちになってしまう。例えば映画館、デートで行ったときってありもしない妄想が走り出したりする。それで言うとロバートの等身大の杉の木の箱はそんな妄想の最小限の空間で、トレイシーのテントは過去に寝た男たちを籠って思い出すチープな空間、飴屋の白い立方体はまるっきり世界から切り離されたその中の空間での生活自体がつまりは籠ってしまっている。井出賢嗣の「Robert’s box, Tracy’s tent and Ameya’s white cube」では、ロバート・モリスの「Untitled(box for Standing)」、飴屋法水の「A part of Ameya Norimizu exhibition Vanishing point」、トレイシー・エミン「Everyone I have Ever Slept with 1963-1995」の3つを揃え、それぞれの籠ったむずむずした妄想をシルバニアギャラリー空間に並列に並べている。

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