ワビサビ「メタルックス」

THINGSText: Aya Shomura

確かに、モノトーンで描かれたフリーハンドのラインも、グラデーションも、金属的な光と影を演出している。遠目では気付かないが、金属の質感を出すための「交差線内のディテール」も見逃してはならない。

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The Japan Brain Dock Society General Meeting SENDAI, WABISABI, 2011, 1,030 x 728mm, Silk screen

2011年にシルクスクリーンで作られたモノクロの処女作は、どこかサビ(中西”サビ”一志)氏にも似ている気がするのは、私一人だけではないようだ。

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METALOOKS/No.09, WABISABI, 2015, 1,030 x 728mm, Giclee Print

カラーバージョンは最新の作品群だが、手法は同じでもメタリック感はない。写真でも絵画でもない、ワビサビによる表現の新しい世界観だ。ピカソのキュビズムのような再構成性、モディリアーニの描く人物の眼差しにも似た優しくも虚ろな物語性も漂う。

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METALOOKS/No.05, WABISABI, 2015, 1,030 x 728mm, Giclee Print

『元々は、デザインや撮影などを考える時に鉛筆でグリグリとサムネイルを描くのですが、そのラフな線をそのまま作品にできないか、と思ったのが始まりです』とメタルックスを考案したサビ氏は言う。感覚的なものを作品へと構成、昇華させるのは大変な工程かもしれないが、これだけモチーフに美女が多いので楽しいに違いない。どうにかして彼女達と視線を合わせたくて、何度も離れたり近づいたりするのだが、片想いのままである。

WABISABIポスター展「METALOOKS」
会期:2015年6月3日(水)~30日(火)
時間:11:00~19:00(月曜日、第3火曜日定休)
会場:クラークギャラリー+SHIFT
住所:札幌市中央区南3条東2丁目6 MUSEUM 2階
TEL:011-596-7752
https://www.clarkgallery.co.jp

Text: Aya Shomura
Photos: Yoshisato Komaki

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