ビョーク展
HAPPENINGText: Yuji Shinfuku
今回の展覧会は待ち時間が長かったりはするが、全体としてそこまで大規模な回顧展という感じではなかったかもしれない。今までのミュージックビデオ、ツアーで使った衣装などをはじめ、集められるものは全て集めているのだと思うが、ミュージシャンそしてアーティストであるビョークという存在の内面に迫る洞察に欠ける印象も若干受けた。ただMoMAで回顧展ができる現代のミュージシャンはビョーク以外にはいないであろうし、こうしてまとまって作品やコスチュームなどを鑑賞できる機会は非常に貴重だと思う。
“Björk”, The Museum of Modern Art, 2015
ビョークの音楽が素晴らしいのはもちろんだが、したい事をしようとしたら、結果として音楽のみでなく映像、ファッション、アプリの開発や楽器の創作などジャンルを飛び超えたものになっており、その無作為かつ全方面的で奔放な表現は彼女が真のアーティストであることを証明している。それはビョークが確固たるビジョンを持ち、音楽を基盤にしてはいるが、それに留まらない複合的なものであり、他のメディアやテクノロジーと結ぶつく事で、ある種宇宙的な広がりを持つものとして成立しているように思う。そんな稀有なアーティスト、ビョークのアートフィールドでの立ち位置を、今回の回顧展では考察することができる。
Björk
会期:2015年3月8日(日)〜6月7日(日)
時間:10:30〜17:30(金曜日20:00まで)
会場:The Museum of Modern Art
住所:11 West 53 Street, New York, NY
TEL:+1(212)708 9400
入場:大人 25$、学生 14$、16歳以下無料
https://www.moma.org
Text: Yuji Shinfuku