ビョーク展

HAPPENINGText: Yuji Shinfuku

「ソングライン」と名付けられた今回の目玉となる展示は3階だ。入場者全員に音声ガイドが配られるため入場に規制がかかっており1時間〜1時間半程待つ事が多いようで、待っている時間に他の展示を見るのが正しい見方のようだ。アルバムの時系列に沿って仕切られた各部屋にはジャケット、プロモーション、ライブで使われた衣装、アクセサリー、小物が並ぶ。「オール・イズ・フル・オブ・ラブ」のビデオクリップで使われたロボットや、2001年のアカデミー賞の際に着ていた事で知られる白鳥のドレスなど、ファンなら是非生で見てみたい品々が沢山並べられている。

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“Björk”, The Museum of Modern Art, 2015

アルバム制作時に書き留められたメモや詩などが書かれたノートも展示されており、創作の裏側が垣間見える展示になっている。音声ガイドからはアルバムごとの説明や制作時の逸話もイヤホンで語られる。イヤホンからのナレーションはどこかパーソナルで親密な雰囲気を喚起し、来場者も足を止め陳列された衣装などを見ながら説明に聞き入っていた。アルバムごとに違ったスタイルを見せるビョークがこれまでどういう道を辿ってきたのかを時系列に沿ってみる事ができる。

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“Björk”, The Museum of Modern Art, 2015

また1階部分では「バイオフィリア」のツアー用に作られた自作楽器がいくつか展示されている。重力を利用して弦を弾いて音を出す高さ3メートルはあろうかと思われる「グラビティ・ハーブ」、「ガムラン」と鍵盤楽器のチェレスタを融合させた、まるで東洋と西洋がミックスされたような音を出す「ガムレスタ」などが展示されている。既存の楽器の音だけを使うのではなく、新しく楽器を作り出してしまうクリエティビティーは目を見張るものがある。

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“Björk”, The Museum of Modern Art, 2015

「バイオフィリア」のアプリケーションも3階に展示されており、設置されたiPadで実際に触ってみる事ができる。こちらのアプリケーションはダウンロードできるアプリとしては初めてMoMAに所蔵されたそうである。宇宙をイメージしたメインページから曲ごとのセクションに分かれていて、それぞれの曲のセクションでは幾何学的な形の音符など様々な仕掛けがあり、直感的に音と映像を見て触って楽しめる興味深いものになっている。

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