アイデンバーグ・リウ「ポール・ダンス」

HAPPENINGText: Ariel Yen-ju Hsieh

6月25日、MoMAの別館のP.S.1コンテンポラリー・アート・センター(以下、P.S.1)は、毎年恒例のニューヨーク市民に向けた企画「ヤング・アーキテクト・プログラム」を開始した。今年の受賞プロジェクトは、ミュージアムの中庭風景を再編することとなった「ポール・ダンス」である。ブルックリンを拠点とする建築会社で、通称「SO-IL」として知られる、ソリッド・オブジェクティブスのアイデンバーグ・リウの作品だ。

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デザイナーによるコンセプト・ステートメントによると、ポール・ダンスは、「人類と構造の概念的関係を再構築する参加環境」とある。「柔軟性」や「遊び」の要素のあるインタラクティブなインスタレーション作品で、作品名は、構造の形やフォルムが、雨や風などの自然発生的な環境要素や、遊び心ある人間の行動に応じ、永続的に変化していくことから発想を得たものだ。作家はこのインスタレーション作品で、ユーザーと自然によるインタラクションを通し、デザインされた空間の不確実性にチャレンジしている。

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約9メートルの高さの屈曲するポールが約5平方メートルのグリッドに立ち、上部が開いたネットを支え、そのネットの上に大きなバウンスボールが無造作に置かれている。プロジェクトは、ユーザーがネットのボールを弾ませたり、ポールを揺すったりするなど、デザインエレメントなどで楽しく遊ぶことにでアトリウムを遊び場として再生して、全体としては、美術館特有の施設的な雰囲気から一時的に独立させようというものだ。

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結果的に、低予算で取り組んだ作品「ポール・ダンス」は、P.S.1を芸術施設としてだけではなく、ニューヨーク市民にとって、夏のレクレーションの場所としても再生してしまった。7月3日から始まった、ウォームアップ・ミュージック・セッションでは、ポール・ダンスが設置されることで『限りあるものの魅力から解き放たれ、限定され、かつ直面している魅力を解き放ち、ニューエコロジー、経済、エネルギー、フロー、ファンタジーなどに直面した我々は、一見すると柔軟性のある雲のように見える地球上の生命の新しいイメージを表現したり、理解し始めるようになり、全てのものが開放されます。ネットワークの交差点や節に立った私たちは、自由気ままに飛び回ることができるのです。』(SO-ILのコンセプト・ステートメントより抜粋)

2010 MoMA/MoMA P.S.1 Young Architects Program
会期:2010年6月25日(金)〜9月6日(月)
会場:The MoMA P.S.1 Courtyard
住所:22-25 Jackson Ave at the intersection of 46th Ave., Long Island City, NY 11101
TEL:+1 718 784 2084
https://ps1.org/yap/

Text: Ariel Yen-ju Hsieh
Translation: Kazunari Hongo
Photos: Ariel Yen-ju Hsieh

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