「デフェネストレーション(窓外放出)」展

HAPPENINGText: Fuyumi Saito

ギャラリーの展示スペース入り口に設置されているビデオ・インスタレーションは、ルース・エックランドが手がけた数分の映像作品。建物の中を記録する映像に、鳩や人のシルエット、光を表現するカラーが現れては消えていく。誰かが話しているわけではないものの、流れる映像のリズムには不思議とストーリーの口調を感じることができる。エックランドは、イメージの断片をつなぎあわせて旧ホテルを記憶に留めるための映像を作りたかったと説明している。

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Still from Defenestration video, Ruth Eckland

画家のマキシーヌ・ソロモンによる作品は、旧ホテルの実際の壁紙や壁の素材をコラージュしたペインティングだ。彼女は何年もの間、旧ホテルの横を通っては、象徴的に残された家具やドアを開けて通り過ぎていった人々をドキュメントする絵を描くことを考えていたと言う。

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Maxine Solomon, Defenestration #3, 68”x40”, Oil and hotel remnants on canvas

一つの作品に、詩のような文章が書かれた壁が逆さまにコラージュされたものがある。これは、ソロモン自身が見つけた、元々逆さまに書かれていた詩の壁を使用して作られた。最初はこれが文章だとは気づかなかったものの、解読してみると、このような詩が現れた。

『全ての人の目に映る恐怖を見よ カオスとよばれる爆弾が澄んだ青い空から落ちる時 誰かは走り 誰かは隠れ でも私の友人は全て死ぬのだろう』

外観からは感じ取ることのできない建物独特の匂いや温度が、壁紙や壁の素材を通じて伝わってくる。一つの建物が街、人々、そして時代の変遷を映し出す。旧ユーゴ・ホテルというサンフランシスコに記憶された歴史の一ページを、作品を通じて肌で感じられる展示である。

DEFENESTRATION
会期:2014年4月4日(金)~6月28日(土)
時間:11:00~18:00(土・日曜日12:00~17:00)
休廊日:月曜日
会場:ArtHaus、旧ヒューゴホテル(外観のみ)
住所:411 Brannan Street, San Francisco
入場無料
TEL:+1 415 977 0223
https://www.arthaus-sf.com

Text: Fuyumi Saito

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