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キム・ヨンジュ

PEOPLEText: Satsuki Miyanishi

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作品のインスピレーションはどこから得ますか?

私のインスピレーションは日々の生活から来ます。日常からと言うのはよくある他人とのやりとりやその振り返りから影響を受けます。

私はよく歩いている時、周りを観察します。地面に山積みになった葉っぱだったり、棚に積まれたり並べられた金属製品だったり。それらは自分の作品の新しい配列の方法に影響を与えます。そして作品をつくる事によって素材自身がまた私に影響を与える要素になります。ここでは私はその素材を観察というよりその素材と対話をします。

例えばその素材の物質の特徴を理解しようとしたりです。新しい形というのはしばしば、単に物質の特徴を理解しようとしている時に現れます。私は更に振り返り、そして記憶の重要性も述べたいです。自分の人生で経験した全ての事が作品をつくると言う過程の中で自動的に誘発される様に感じます。それらは潜在意識下で私の手を導き私が下す判断を下します。私はこれがどの様に起こっているのかに興味がそそられます。ある人はこれを直感と呼んだり、好み、能力、または美的偏見と呼びます。実際に何かはわかりません。

確かなのは、これらは内面的なインスピレーションであり、感謝をしているという事です。そして同じくらい興味深いのはそんな潜在意識下の決断から生まれる作品と立ち会う事ができる事、そしてその作品を振り返る事がまた自分に影響を与えてくれます。私はたびたび制作の技術上の観点では無く、形状の想像力の面で「どうやってつくったのかしら」と思う自分に出会います。

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作品では何の素材を使いますか?高価な素材から新しい素材にどの様にして変わったのですか?

私が主に使う素材はべルクロ®の面ファスナー(マジックテープ)です。面ファスナーを使い始めた事と高価な素材から新しい素材に変えた事は、私のソウルとプロビデンスでの経験、両方を話す必要があります。

私は韓国のソウルで生まれ育ちました。一千万人もの人口がある街、目に映るのは人だけです。忙しい人達です。人間観察をするのが私の習慣になりました。どんな洋服、鞄、アクセサリー、そして靴を人々は身につけているのか。そして2007年に大学院の為にプロビデンスに来た時、物事は変わったのです。

通りは空っぽで人と出くわすのが難しいくらいでした。街は小さく、私が見慣れている物とは違いました。人はゆっくりと歩いていました。私もゆっくりと歩き始めました。ゆっくりと歩き始める事により人以外の自分の周りにある物に気がつき始めました。以前は興味が無かった物に興味を持ち始めました。自分の周りの環境に敏感になる事により、自分の作品に選ぶ素材も変わってきました。

ソウルにいた時は物事を早く行う事に重要性を感じていました。それにより、元々美しいと思える素材を選んでいました。しかしプロビデンスに来てから、自分が見つけた素材をより理解する為に、新しい環境に時間をかけて冒険をする様になったのです。自分の周りの環境を冒険すると言う新しく発見した自分の好奇心により、以前使っていた石や高価な金属などの素材から離れ、釘や豆やストロー、そしてべルクロ®の面ファスナーなど日常的で高価では無い素材で実験をし始めました。それが、再構成する事で見つける事のできるそれぞれの隠れた美しさを発見する事に繋がったのです。

2009年の卒業後は限られた設備と道具しかありませんでした。限られたリソースにより、私は素手で形の作れる物のみを使う様になりました。べルクロ®の面ファスナーが今まで選んできた素材の中で今でも使っている素材です。面ファスナーはつけ外しが簡単で、積み重なる事と並ぶ事に長けています。切ったり、丸めたり、曲げたり、縫ったりする事もべルクロ®は素手で行う事ができます。フックの光る様な特性にも惹かれました。2009年以降、私は主な手段としてこの素材に着目して来ました。

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