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シンケル・パビリオン

PLACEText: Kiyohide Hayashi

現在開催中のシプリアン・ガイヤールの展示はベルリンの街を巻き込むものとなっている。破壊のプロセスや文明の姿をテーマとするアーティストは展覧会のコンセプトとして「未来の博物館」を掲げ、工事現場で使用される掘削機械のシャベルの爪を展示している。それらは時間が経てば、博物館に展示されるであろう今の時代の遺物であり、我々の生活を紐解く展示物の役割を担うことになる。またそのシャベルは展示室の窓越しに見える建設現場を背景にして、今なお変化を続けるこの街の姿を気付かせてくれる。

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Installation view, ‘What it Does to Your City’, Schinkel, Pavillon, Berlin, 09/13 – 10/21/2012. Photo: Jens Ziehe © Cyprien Gaillard, Courtesy Sprüth Magers Berlin London

何より印象的だったのは展覧会のオープニングに合わせて行われたパフォーマンスだった。それはシンケル・パビリオン横にある建設現場で、数台のシャベルカーが夕闇の中で音楽に合わせて動き回るもの。焚かれた発煙筒の光の下、シャベルカーはこの街で繰り返される破壊と再生を演じてみせた。そこではアーティストが見せようとするものが、展示室の作品やそこから見える風景だけでなく、ベルリンの街そのものであることに気付かせてくれた。そして同時に、シンケル・パビリオンの展示がベルリンの街と切り離すことができないものであることを見る者に強く印象付けていた。

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Performance in conjunction with the exhibition, ‘What it Does to Your City’, Schinkel Pavillon, Berlin, 09/13 – 10/21/2012. Photo: Linus Dessecker. © Cyprien Gaillard, Courtesy Sprüth Magers Berlin London

シンケル・パビリオンに訪れた者誰もが気付くに違いない。この展示空間の魅力はベルリンの街との繋がりが生み出していることを。展示室の窓にはベルリンの街並が広がっている。かつての東ドイツのシンボル的な存在だったベルリンのテレビ塔や、東ドイツ時代に撤去されたベルリン王宮の再建現場も見える。一方で古い建物を破壊して新しいモダンな建物にする建設現場も見える。つまり、ここからは過去と現在が混じり合う場を一望できるのだ。このような圧倒的な空間はアーティストを魅了すると同時に彼らの前に立ちはだかる。時として作品の良さを押し殺すまでに展示空間は美しいのだ。それゆえ、アーティストはベルリンの街や建築空間とのせめぎ合いを繰り広げる。そう、ここでは共鳴ともいえるその素晴らしいせめぎ合いに立ち会うことができるのだ。

Schinkel Pavillon
住所:Oberwallstraße 1, 10117 Berlin
開館時間:12:00〜18:00(月・火・水曜日休館)
TEL:+49 (0)30 2088 6444
info@schinkelpavillon.de
https://www.schinkelpavillon.de

Text: Kiyohide Hayashi

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