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青木美歌個展「FLUCTUATION OF LIFE」

HAPPENINGText: Memi Mizukami

表参道と外苑西通りの間にある、南青山の住宅街の坂道を歩き、心地良い6月の湿度と共に坂道をおりると展示空間「PLSMIS(プラマイ)」がある。外にはカリモクチェアが置いてあり、一見カフェのように見えるその空間は、ガラスでできた「生命」の作品で溢れていた。6月5日から13日まで、ガラス作家である青木美歌の個展「fluctuation of life」が開催された。

青木美歌個展「fluctuation of life」

北海道出身の青木美歌氏は、武蔵野美術大学を卒業後これまで何度かの個展を開催し、自身がいつも根底のテーマとして掲げている「生命」を、耐熱ガラスと、時に実存する実験器具などを用い、ガラスという繊細さと強いメッセージ性を伴った作品によって表現し、披露してきた。

青木美歌個展「fluctuation of life」

空間に入るとまず、陳列された瓶詰めの作品達が目に入る。その全てに、冷凍保存されるかのように作品達が息をひそめている。理科の実験室を思い起こさせる空間に、まるで臓器のような、未来の生命体のような、原子のような作品達が陳列されている様子は、光の良く入るこのギャラリーとの相性とも良く、非現実的空間を作り上げる事に成功している。サイエンス・フィクションとは違う懐かしさを感じるのは、やはりガラスという素材のせいだろうか。

青木美歌個展「fluctuation of life」

フラスコや注射器などの「実験装置」をベースにして制作しているいくつかの作品には、現代への性、あるいは生に対してのメッセージが含まれている。精子バンクやバイオテクノロジーへの疑問を、圧倒的な美しさを伴って私たちに作品を通して投げかける。

『作品のコンセプトがしっかりと固まってから制作する場合もあれば、制作しながら固めていく時もある』と青木氏は言う。彼女の中で何よりも一番大切な事は、メッセージを伝える事なのだそうだ。

青木美歌個展「fluctuation of life」

彼女にとってのガラスは思いのままの形となる手段の一つであり、まるでドローイングを鉛筆でするように彼女はガラスでもエスキースをするのだ。それを幾度も続け、彼女の「生命」は一つずつ完成していく。そして自然と得られる技術力は彼女の可能性をどこまでも広げ、新しい実験の場を披露し続けてくれる事だろう。

青木美歌個展「fluctuation of life」
会期:2010年6月5日(土)~13日(日)
会場:PLSMIS
住所:東京都港区南青山4-17-4 1F
TEL:03-6459-2251
https://www.plsmis.com

Text: Memi Mizukami
Photos: Kozaburo Sakamoto

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