トランスメディアーレ 2010

HAPPENINGText: Yoshito Maeoka

ゲプハルト・ゼングミュラーは展覧会のタイトルの元となった「カメラ・オブスクラ」の原理を、光センサと電線、豆電球といった一世代昔の技術で実装した。ライトに投射された感光部分を陰で遮るとその陰に沿った形が豆電球の集合体であるディスプレイ部分に映し出され、どことなくレトロスペクティブなイメージを提示していた。

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Ken Rinaldo “Paparazzi Bots”

ケン・リナルドの「Paparazzi Bots」は、カメラに搭載された顔面認識センサを改造し搭載したロボットで、自動で動き回りつつ、人の顔を認識しては写真を撮っていた。そのコミカルな動きは、昔のSFアニメで見たロボットを想起させた。

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Julian Oliver, Diego Diaz, Clara Boi, and Damian Stewart “Artvertiser”

ジュリアン・オリバー、ディエゴ・ディアス、クララ・ボイ、ダミアン・スチュワートによる「Artvertiser」はアイディアに富んだコンセプトのデバイスを提示した。それを通して町を見ると、巨大なビルボードや店の看板にユーモア満点の”パブリック・アート”が見えるのだ。会場にはデモンストレーションのビデオが展示されていた一方で、実際にこのデバイスを手にし、街中のバーチャルなパブリックアートを見るツアーも開催されていた。

個人的に残念だったのは、例年良く見られるポリティカルなコンテクストを持った作品が少ない印象を受けた点だ(もちろんワークショップやシンポジウムでテーマとして取り上げられてはいたのだが)。アワードを受賞した、ミシェル・テランやアーロン・コブリン+ダニエル・マセイはそれぞれインターネットテクノロジーを高度な技術で利用した作品を提示した。ミシェル・テランの「Buscando al Sr. Goodbar」ではグーグルアースとYouTubeを関連付け、「Bicycle Built For Two Thousand」では2000を越えるインターネット上の音声を音階や音色にあわせて自動的に振り分ける仕組みが使われていた。しかしながら、現実へのフィードバック、見た目や内容のおどろき等、一鑑賞者として物足りなさを感じてしまった。

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葛西由香
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