姉川たく展「 YOU重力未訂正衛星 ねけだせれない」

HAPPENINGText: Takeshi Yamaguchi

表現行為こそが自らの糧と自負する姉川たくの新たなる挑み、それは「闇」と対峙することである。これまでホワイトキューブのギャラリーで展示を構成してきた彼が、9月26日から始まる展覧会で会場として選んだのは、江戸時代末に建立された土蔵を再生したアートスペース、ギャラリー・エフである。姉川は、140年の歳月を経て存在し続ける蔵という空間に何を感じているのだろうか?

姉川たく展
© Taku Anekawa / phil co., ltd.

「蔵には特有の重力がある。漆黒の闇はブラックホールのように色々なものを吸い込んでいく。恐怖感を覚えながらも、強く魅かれる自分がいる。暗い異空間に糸を放ってみたい。宇宙に糸を投げるような感覚で」

さらに今回の展覧会は、9月26日から10月13日と10月31日から 11月30日の2部構成である。前半は糸によるインスタレーションを行い、後半ではキャンバスをベースにした作品群が登場する。
2008年秋、漆黒の闇とスタイルの違う二つの展示によって、糸の意味を探り続けてきたアーティスト姉川たくの「今」が明らかになる。

姉川たく展
© Taku Anekawa / phil co., ltd.

空中に糸が浮かんでいる。
まるでへその緒のように、たゆらかに。
小さな糸は小さな意志を持ち、餅のような柔軟さで
自らを引き延ばし。分割し、複製し、新しい世界を作ろうとする。

空中の糸は、その小さな可能性を示し
進化の逆流を辿る。

ぼくとあなたにのしかかる重力。

あらゆる重力を超えて、
間違った言葉で、誤った未来を作る。
肯定して、忘れる。
否定して、思い出す。

— Taku Anekawa —

姉川たく展「you重力未訂正衛星 ねけだせれない」
会期:2008年9月26日(金)〜10月13日(月)
開館時間:12:00〜21:00(火曜日休廊)
会場:ギャラリー・エフ
住所:東京都台東区雷門2-19-18
入場無料
企画:phil co.,ltd
協力:ディー・エム・シー株式会社、NANZUKA UNDERGROUND
https://www.gallery-ef.com

Text: Takeshi Yamaguchi

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