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ダニエル・ベラスコ・ロジャーズ

PEOPLEText: Eduard Prats Molner

ロンドンは、警察によって、公共カメラがコントロールされていて議論を呼んでいます。セキュリティーのために記録することをどう思いますか?

う〜ん、この話題は実に興味深くもあり、頭に来ていることでもありますね。同時に、何かできないか、真剣に思っています。イギリスを去ってから、あそこは特殊だったことに気付きました。我々は、IDカードの類は長年持ち歩いていないんです。誇りでもありますね。でも今、世界で最も監視されているのが現状です。日常生活において、見渡せば、カメラがありますし、それらの全てが連携しているのかと疑いたくもなります。イギリスは世界中にある420万個の監視カメラの20パーセントを占めています。だからと言って、カメラのことを心配しているわけではないのです。カメラは、驚異的に増えており、会話の中にも入り込み、誰かが怪しい行動をとったら、自動的に場所を推測できるような認識ソフトウェアさえも受け入れています。ほとんどのATMが、カメラを搭載している現状を見ると、銀行は正確にいる位置を把握できるのです。知りたくもない人も含めて全ての人間が対象となって。そう考えると、別にGPSについて、なんら警告を発する必要はないのです。記録されるのは、GPSを介してではなく、携帯電話、銀行カード、 バーンカード、パスポートなどを介してなんですから。

携帯電話の記録が個人のプライバシー侵害であると思いますか?

何がプライバシーなのか、については多くの議論が必要でしょう。このインタビューの範囲ではないですね。でも、今日の専門的技術者集団による社会の挑戦は新型で、おそらく無害の記録技術が出るたびに、プライバシーの観点から何を失ったのかを見続けなくてはいけないね。この技術は自然には消えず、政府が市民から集めたデータをどうにかして使ってやろうと考えいるからこそ問題なんです。ある意味、それはとてつもない圧力です。我々は、もっとその過程を知るべきであり、政府の責任として、市民のデータがどれだけ蓄積されているのかを伝えなければなりません。全ての企業が消費者に、分析やマーケティングのためにデータを使用する旨をはっきりと伝えなくてはいけないし、そのデータが他の企業に売られる旨を伝えなくてはいけない。

記録が生活をも救うと…。

そうですね。それについては疑いの余地はないですね。でも、いつもそう考えているわけではないんです。イギリスの犯罪率は、監視社会ではない国に比べても、一向に減る気配がありません。結局は単なるデータに過ぎないんです。ある地域で、本当に病院を建てる是非を問うときに、データを用いるみたいにね。ニューヨークで起きた9月11日の同時多発テロによって、人々は常に警戒心を抱き、猜疑心を持つようになり、生活の質の低下を招きました。テロに遭うのは宝くじに当たるのと同じようなものだと誰かが言っていました。つまりはそんなものなのです。

あなたの仕事は「ビックブラザー」文化への批判だと考えていますか?

そんなことはないですね。問題作を作ることには興味がないし、社会について批判しようと思ってないです。それは私が望むやり方ではないからね。私が興味あるのは、物事について何ができるのかを知って、人生を通して、政治的にどのようにアプローチしていくかを知ることです。

注:ビックブラザーは、イギリスのチャンネル4が製作した他人同士が一つ屋根の下で暮らしている映像を流す番組

いつまで地図を作り続ける予定ですか??

それはとんでもない質問だね。私が死ぬまでか、技術が変化するまでかな。今すぐに辞める理由なんてない。だから、理由ができるまでは続けるよ。

近々、展覧会はありますか?

最近は、スコットランドとベルリンで開いているよ。ぜひ、ウェブサイトをチェックしてみて。

Text: Eduard Prats Molner
Translation: Kazunari Hongo

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