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リヨン・ビエンナーレ 2007

HAPPENINGText: Kana Sunayama

リヨン現代美術館のディレクターであるティエリー・ラスパイユが、1991年から始めたリヨン現代美術ビエンナーレが2007年で9回目を迎えた。フランスでほぼ唯一国際的知名度を持つこのリヨン・ビエンナーレ。2003年の「明日が到着した。」と題された “未来”、2005年の「継続の体験」と題された “過去” に引き続き、ラスパイユ氏が提示した “時間” を主題とする三部作の最終章である今回は、「現状の考古学」を行うという試みがなされた。

その「現在」をテーマとするビエンナーレのために、アーティスティック・ディレクターであるラスパイユ氏によって選ばれたキュレーターは、1967年生まれのステファニー・モワドンと1968年生まれのハンス=ウルリッヒ・オブリストの二名。

リヨンビエンナーレ 2007
Josh Smith, “Sans titre”, 2007

(未だ)名付けられていないこの10年間の歴史」というタイトルの元、まだ終わってもいない2000年からの10年間の歴史を名付けようというあまりにも大それた試みである。今回のビエンナーレは二人の企画者によって提示されたゲーム。このゲームの参加者には過去10年を定義することが依頼された。ゲームはモワドンとオブリストによって二つ用意され、どちらのゲームも参加者が出せるカードはたった一枚。チャンスは一度だけ。

リヨンビエンナーレ 2007
“The Nu River Project”, 2007, Cao Fei

第一のゲーム参加者となった49名に及ぶキュレーターや美術批評家は、あるひとつの質問に答えなければならない。『あなたにとって、過去10年で最も重要な位置を占めるアーティストまたは作品は?』

リヨンビエンナーレ 2007
Givanni Carmin, “Potlach 11.1 / The dead end strategy”, 2007

アーティスト一人の一作品を提示してきた多くのキュレーターの中で、ステファン・カルマーは、2000年から発行されているグラフィックデザイン関連の雑誌「Dot dot dot Magazine」をこの10年を代表するアートだとした。

リヨンビエンナーレ 2007
Tirdad Zolghadr, “Museum of American Art”

また ティルダッド・ゾルガッドは1950年代に企画された国際巡回展「Museum of American Art」の様子を展示した。この展覧会は1970年代からアメリカにおけるアートのプロパガンダ展であったとみなされ、今日の欧米現代アート界におけるアメリカンアートの位置を不動のものにした原点である。

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