デュアル・シティ・セッションズ:東京/シンガポール
シンガポールのアーティストたちと日本のアーティストが一体となるテーマは特にあると思いますか?
はい、日本からの参加アーティストはNullプロジェクトのオリジナルメンバーです。シンガポールのアーティストを選ぶにあたっては、私は彼らの作品と評判をもとに選出しています。トレンディーなアーティストより、作品に繊細なセンスが非常によく反映されている人を選びます。とても力強くかつ繊細な作品で、ポップなものではないのです。
では、作品全てが黒と白なのは偶然でもないのですね
プロジェクトを始めるにあたっての作品制作のコンセプトがあったのですが、なるべくモノクロームに保つようにというもので、アーティストたちはそれぞれ作品に2つの要素しか選べないことになっていたのです。例えば、スティーブ・ロウラーの作品では、シンガポールの地図を違うトーンを使って、この島を形作るかのように、国の宗教的な成り立ちを表しているのです。
Steve Lawler
では、この展覧会全体のテーマにはもっと多様性があるということですね。
二組間のバランスが良いのです。全員が第一線で活躍しているようなアーティストたちで、それぞれ独自の活動も行っています。
ハンソン・ホーはグラフィック・デザイナーで、彼の作品は線と影でできた二つの要素から飛び出している本当にミニマルな作品をつくり、ND チョウは人間と肖像写真について焦点を当てている写真家です。
Mei, the Analog Girl
ミュージシャンも参加しています。アナログ・ガールの名で活動するメイは、カフェ・ポーズで数週間前パフォーマンスを披露しました。
私がコントリビュートした作品は、孔子の言葉を借りて言うとすれば、30代、40代、そして60代、70代と人は歳をとればとるほど賢くなる。この点を明確にするため、私は歳を重ねるごとに白髪になっていく本物の髪の毛を使って漢字を作りました。シンガポールの政治になじみがある人ならしっているかもしれないですが、トム・メルクスはシンガポールの政治や検閲制度について作品をつくりました。
Shun Kawakami
日本の側ではどうでしょうか。川上俊が制作したNullのロゴのタイポグラフィーは、セリフフォントと盆栽の枝が伸びているところが、とても伝統と現代のバランスが整った、完璧な例だと思うのですが。
そうです、Nullのアーティストたちの作品には、現代の技術を使った現代のアイディアを使って、日本の伝統美を探っていますね。鎌田貴史は日本の仮名を弧状に凝縮し、日本の伝統である書道を思わせるような、同心円の目盛りを制作ました。
とても興味深いですね。ありがとうございます。
11月27日からはじまるシンガポール・デザイン・フェスティバルを楽しみにしています!
Dual City Sessions: Tokyo and Singapore
会期:2007年10月30日(火)〜11月4日(日)
会場:Giuliano Fujiwara
住所:東京都南青山6-8-18 放映ビル1F
TEL: 03-5469-5558(店舗)
https://www.dualcitysessions.com
Text: Vicente Gutierrez
Translation: Kyoko Tachibana
Photos: Courtesy of the artists
