ジュン・オソン
PEOPLEText: Yurie Hatano
今月のカバーを手掛けたのは、SHIFT2007カレンダーで作品がフィーチャーされたイラストレーター、JUN OSON。ユーモアのセンスを持つ独特なタッチが印象的だ。カバーはストーリー仕立てになっている。インタビューをご覧になったあとでまた見て頂きたい。
はじめに自己紹介をお願いします。
こんにちは。イラストレーターのJUN OSONと申します。1979年日本生まれ、日本育ちです。大学でデザインの勉強をした後、1年ほどデザイン事務所に勤務しました。退社後、イラストレーターとして活動を開始しました。
イラストレーターとして活動を始めたきっかけは何ですか?
子どもの頃から絵は好きだったのですが『絵を描かないと生きてゆけない』というほど好きでもなかったので、絵と同じくらい好きだった商業デザインのほうが現実的だと思い、デザインを勉強するために大学に入りました。大学卒業後もデザイナーになりたいという気持ちに変わりはなく、名古屋の小さなデザイン事務所に勤務しました。しかし、そこには自分が想像していたデザイン業務とはあまりにかけ離れた現実がありました。そんなことから、初心に戻り『自分の好きな絵で食べていけないか?』という想いが強くなり、イラストレーターを目指す決心をしました。
主な作品をいくつか紹介してください。
僕のホームページJUNOSON.COMにて掲載している作品が主となります。
まずはフラッシュアニメーション。「AllWAYS マナーモード・マナちゃん」と言います。
実はこれがフラッシュアニメーション初挑戦の作品です。
僕は街に出たりして公共のマナーを守らない人間を見るととても気になります。と同時に『自分が神経質なだけではないか?』という発想も浮かぶのですが。「AllWAYS マナーモード・マナちゃん」ではいろんな解釈のあるマナーについておもしろおかしく、そしてかわいくアニメーションにしました。
次にミニマンガですが「FREEMAN」というタイトルです。その名の通り、職に就いていない主人公アレックスやその回りのキャラクターが巻き起こす、シュールコメディです。先にお話した通り、僕は普段ルールばかり気になる性格なのですが、その逆の事をアレックス達にやらせている感じです。
最近の活動について教えてください。
最近は主にウェブに使用されるイラストレーションや、Tシャツのグラフィックの仕事をこなしつつ、精力的に個展開催やコンペティションへの応募などをして、自分をより広く知ってもらう活動をしています。
タイトルやコピーが印象的だったり、作品の裏にはストーリーも見えますが、そういった言葉やメッセージのポリシーについて教えてください。
そう感じ取っていただけるととても嬉しいです。僕はポップ・アートが好きなのですが、ポップ・アートが持
つ“茶化す”部分にとても惹かれるのです。例えばウォーホルはキャンベルスープそのままを印刷し、デュシャンは便器にサインをして、『芸術です』と言い切りました。それらを見たときにとても衝撃を受け、今でも強く残っています。
現在、僕の回りにもそうした“茶化す”感覚をバランス良く持っているアーティストが多数いますが、彼らが作る作品はものすごく格好良いのです。僕の作品はそんな大層なものではありませんが、“茶化す”感じは常に意識しています。
ストーリーに関しては架空の物語を想像しながら描くこと多いので、そういう印象を与えるのかもしれません。その架空の物語の延長として「妄想CDジャケット」というシリーズを作りました。誰からも頼まれていないのに、ありもしないバンドのCDジャケットを制作するのです。
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