SHIFT 2007 カレンダー
THINGSText: Yurie Hatano
フレッシュなクリエイター発掘を目的に、オンラインマガジン「SHIFT」の企画で2003年より毎年行われている「SHIFTカレンダーコンペティション」。本コンペティションの応募総数は回を重ねるごとに増え、4回目の開催となる今年は、世界49ケ国から1267作品が集まった。そこから選び抜かれた12作品がそれぞれの月を飾る、小さなアートブックのようなカレンダーとなって誕生する。
さらにそれらの作品は、三菱製紙株式会社の運営するグラフィックス作品プリントアウトセンター「PRINT’EM」の協賛により、「PRINT’EM」ウェブサイトでも1年間展示され、お気に入りのビジュアルは大判ポスターとして購入することができる。また、2006年12月には、札幌のギャラリーカフェ「SOSO」で、PRINT’EMによりA0サイズにプリントされた珠玉の作品たちが展示される展覧会も行われる。
選ばれた12作品は以下の通り。作者のコメントと作品解説と共に、作品の数々をご覧下さい。
ジュン・オソン (日本)
1979年生まれ。愛知県出身、東京都在住。大学卒業後、デザイン事務所に勤務。退社後、フリーランスのイラストレーターに。現在は紙媒体に限らず、ウェブやTシャツのグラフィックなど多方面にて活動中。
作品解説:「無駄なものをそぎ落とす」という発想の仕方が好きです。ピーナッツ頭のヴィーナス、山、波、水色の背景。
森田明宏 (日本)
25歳。6月に上京。現在求職中。フィールドはドローイング、グラフィックデザインやウェブデザイン。
作品解説:以前、ヤン・チヒョルトが設計したオールド・スタイル・ローマン書体、Sabonの「g」の文字を眺めていた時、それが美しい髪のラインの様に見えました。そこからヒントを得て、Cuticle Sabonという作品を作りました。しばらく髪のドローイングを続けた後、イメージソースであった「g」の形へと還元すべくこの作品を描きました。
ジャッキー・ローチンハン (香港)
1981年生まれ、24歳。香港を拠点に活動するモーション・グラフィック・デザイナー。スクール・オブ・クリエイティブ・メディアを優等で卒業。奇妙で面白いものに興味がある。
作品解説:この作品のテーマは「習慣の生体構造」。体、ライフスタイル、習慣が、デジタル趣向に支配されている。もっとアナログになりましょう。
ハモニカビル (日本)
札幌在住。ハモニカビルはアートディレクター藤田直樹と、デザイナー小島歌織、男女2人のデザインユニット。2004年に活動開始。SADC新人賞(2005)、ブルノ国際グラフィックデザイン・ビエンナーレ入選(2005)、ショーモン・ポスター・フェスティバル入選(2005)、トリエンナーレトヤマ(2006)入選など。
作品解説:2006年、とあるきっかけから般若心経とアートのコラボレーションブックである「般若心経0-ゼロ-」のブックデザインを担当することになりました。今回の作品は、その本の告知ポスターに使用したビジュアルのひとつです。このシリーズには本作のメイドさん以外にも言葉遊びから生まれた様々ないきものたちが登場します。登場人物の背景やこの先に展開する物語を想像し、本作を楽しんでいただけたらとても嬉しいです。
ジョアナ・スウィアトロウスカ (ポーランド)
ポーランド出身、在住。クラコウ・アカデミー・オブ・ファイン・アーツのグラフィック・アート科を卒業。フリーランスのグラフィック・デザイナー、イラストレーター、ウェディング・フォトグラファーとして活動。
作品解説:ゲームのルール;プレイヤーは、途中でツール(連想)を集めながらボード上を進まなければならない。すると、ゴール(このクリエイターが言いたかったこと)にたどり着く。
トーマス・ガルシア (アルゼンチン)
1979年アルゼンチンのバイアブランカに生まれる。フィルム・コマーシャル・プロダクション会社に在籍し、広告、ビデオクリップなど、あらゆる広告メディアをデザイナーとして手がけてきた。現在はブエノスアイリスを拠点に、フリーランスのイラストレーター、グラフィック/モーショングラフィック・デザイナーとして活動し、最近スタジオ「セイントグラフィー」を立ち上げる。パートナーは愛犬とコーヒーメーカー。
作品解説:
おしまいの断片
たとえそれでもきみはやっぱり思うのかな、
この人生における望みは果たしたと?
果たしたとも。
それで、君はいったい何を望んだのだろう。
それは、自らを愛されるものと呼ぶこと、自らをこの世界にあって
愛されるものと感じること。
– レイモンド・カーヴァー(村上春樹訳)
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