地下鉄アレクサンダープラッツ・アート展

HAPPENINGText: Yoshito Maeoka

そして、U8よりU2に抜ける通路には、いつもに比べると多数の、レトロな雰囲気を持った立て看板が並んでいた。よく見てみると、そこには『芸術は自由の娘である。』『働け、そして何も疑うな』と少しパンチの利いた皮肉とユーモアあふれる文言が並んでいた。クリスティーネ・ヒルの作品だった。

彼女のユーモアのセンスを好意的に受け止めるとともに、私は、その場にいる人の関心を奪うべき存在の“広告”そのものの機能についてむしろ思いを巡らせてしまった。

この駅を舞台にした展示の歴史は1958年、つまり旧東ドイツ時代にまでさかのぼる。この時期の政治的緊張を背景に、世界の平和を訴えるポスターのコンペが行われた。その後1982年より幾度かに渡り、“平和”に関連したテーマでの展覧会が開かれていたという。

このプロジェクトは、それらの旧東ドイツ時代に開かれた展覧会の精神を受け継ぐともに、一方でその様な時代の流れに埋もれてしまった興味深く、意義のあったプロジェクトに光を当てることを意図としているという。

U2 Alexanderplatz
会期:2006年9月27日(水)〜10月29日(日)
会場:地下鉄アレクサンダープラッツ駅構内
https://u2-alexanderplatz.ngbk.de

Text: Yoshito Maeoka
Photos: Yoshito Maeoka

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