ジャッキー・ローチンハン
PEOPLEText: Yurie Hatano
SHIFT2007カレンダーもリリースとなり、DOTMOV 2006もいよいよスタート。今年も世界中から多くの応募作品を集めた両コンペティションにて計4作品が選ばれ、DOTMOVゲスト審査員達からも好評価を得るという異例の快挙を成し遂げたのが、香港のクリエイター、ジャッキー・ローチンハン。今月は、彼の選出作品に連動したSHIFTカバーを展開する。ありふれた日常のものに歪みを加え、様々な視点を提示するジャッキー。今後注目すべきクリエイターの一人だろう。
始めに自己紹介をお願いします。
ジャッキー・ローチンハン。80年代生まれ。香港出身です。昨年キャリアをスタートしたばかりですが、学校で学んだことは全て忘れました。
最近は主にどのような活動をしていますか?
モーション・グラフィック・デザイナーとして「カーボン」に勤務しています。ここでは主にブロードキャスト、TVチャンネルのグラフィック・デザインをしています。もちろん他にもビジュアル関係の仕事は全て手がけます。
SHIFT2007カレンダーコンペティションに作品を応募したきっかけは何ですか?
昨年のコンペティションで選出されたブライアン・フーに教えてもらいました。彼は僕の同僚であり、親友です。
SHIFT2007カレンダーに選ばれた作品について教えてください。
この作品のテーマは「習慣の生体構造」。体、ライフスタイル、習慣は、デジタル趣向に支配されています。もっとアナログになりましょう。
DOTMOV 2006に選ばれた3作品についても教えてください。
この選出作品は、昨年の僕の卒業プロジェクトの一部です。テーマは「インサイト/アウトサイト」。日常生活の知覚と環境への意識の間に相互作用を探るのが、プロジェクトの目的です。
ON/OFF
この映像はリチャード・リンクレイターの「ウェイキング・ライフ」からのアイディアに基づいています。動画メディアの中において、リアリティーと視聴者のポジションを追求しています。
TAICHI
前景、背景、フレーミング、クロッピング、そして視覚の選択。それらの関係を太極拳の動きと共に追求している映像です。
2D SLAVE
僕たちはみな、三次元の生命体です。この世界では、僕たちは低い次元(一次元、二次元、三次元)のもの全てをコントロールするパワーがあるようです。しかし、二次元の生命体が三次元を理解できないように、僕たちも四次元がわかり得ません。つまり、奴隷かマスターか。
どのようにして『奇妙で新しいもの』を探しますか?
実際は、この世界に新しいものはありません。僕は自分の体とその周りに特別に注意を払います。オリジナルなもの、シンプルなもの、日常のものに目を向けてみてください。それらの機能、用法、歴史などを深く考えてみてください。僕たちがどんなに奇妙かがわかります。
作品に影響を与えるアーティストやものなどはありますか?
村上春樹、カミュ、三島由紀夫などの小説。ロマンチックで孤独でありながら理不尽であるというセンスを与えてもらいます。
沢山の中国画、丸尾末広の漫画。歪んだ時間と空間を持ち、一場面に何かが起こるのを見るのが好きです。
今月のSHIFTカバーのコンセプトを教えてください。
スイッチのオン/オフは、僕たちの選択する力を誇張します。
これからの予定は?
2006年以内に初めてのショートアニメーションを完成させたいです。それから商業的なことを避けられたらいいと思います。
最後にメッセージをお願いします。
休憩してください!そして休憩を楽しんでください!
Text: Yurie Hatano