フィールド・トリップ「ヘクトール」展

HAPPENINGText: Yasuharu Motomiya

東京の開発地区の一角にあるトリコのギャラリー。インフォメーションで、クリエイティブユニット、フィールド・トリップによるドローイングマシーン「HEKTOR」(ヘクトール)の展覧会&インスタレーションが行われた。

このヘクトールというドローイングマシーンは、マシーンに装着されたスプレー缶が自動的に壁面を滑空し、、パソコンから入力されたイメージをスプレー缶によってペイントしていくという、少し変わったマシーンで、これまで世界各地でパフォーマンスを行い、今回日本で行われるのは初めてだ。

そして、今回の展示をオーガナイズしパフォーマンスを行ったのはフィールド・トリップというクリエイティブユニット。アレックス・リッチとジョナサン・ハース、そしてヘクトールの開発者の一人でもあるユルグ・リーニの3人による共同プロジェクトでもあり、ロンドン、ローザンヌ、東京という地理的に離れたそれぞれの拠点を様々な形で結び活動していくという実験的な試みでもある。

そして、今回は彼らの中のアレックスとユルグから少し話しを伺うことができた。

まず初めに、フィールド・トリップ設立の経緯を教えてください。

アレックス:最初のアイディアは、当初ぼくたちは別々に仕事をしているものを持ち寄って、一緒に作業してみようというところから始まったんだ。

ユルグ:お互い別々のバックグラウンドを持っているのを持ち寄って分け合えると思ったんだ。

アレックス:普段はそれぞれ別々の国・スタジオに居ながら仕事をしているんだ。ぼくは東京、ジョナサンはロンドン、そしてユルグはスイスに居ながら連絡を取り合っているんだ。ぼくらのスタジオはバーチャルスタジオ的なもので、アイチャットや、素晴らしいテクノロジーのおかげで良好な関係を保っているよ。それぞれ違う所に住みながら一緒に仕事をするのは、少し興味深いことだよね。

ではヘクトールについて詳しく教えてください。

ユルグ:まずヘクトールは、コンピュータで制御されたスプレー缶で壁面に自動で絵を描く装置の名称で、壁に2台のモーターを取付けて、そこに渡したワイヤーの真ん中にスプレー缶を吊るして動かすんだ。これは少し変わったシステムで、普通のXYプリンターの原理とは異なっているんだ。

見た目はとても面白くて、壁の上を踊っているように動いて行くんだ。壁に描いているときのプロセスはみていてとても面白いし、いわゆるパフォーマンスツールみたいなものだね。なので、頻繁に展覧会などで使用することができ、観客が来て、その目前で描かれて行くプロセスを見るのはともて刺激的だと思うよ。そのペースはとても遅いので、ドローイングの過程の進行をゆっくり見ることができるんだ。

アレックス:さらに、それを操作するインターフェースも非常に面白いものを使ってて。(資料の実際に使われた操作画面の写真を見せながら)この赤いライン上をスプレー缶は移動して行くんだよ。

ソフトウェアも制作されてるいるんですよね?

ユルグ:そうです。実は、そういったプログラミングが一番得意なことで、14歳のときに真剣にプログラミングの勉強を独学ではじめて、また、映像と音に関しても勉強していました。大学はときはエンジニアリングを勉強し、そして、そういった事柄をよりクリエイティブな方向へ使いたいと思い、アートの方向へ進んで行ったんだ。

プログラミングしているときはとても論理的な作業で、構造についてとても考えるのだけど、これは、非常にシステマチックな作業なので、とても健康的だとはいえない。ぼくはこのプロジェクトのような共同作業やこういった展覧会などでバランスをとっているよ。

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