「私たちの歴史…」展

HAPPENINGText: Sarah Boisson

そして大きく、震えるサウンドボックスの上に横になり、飛行機の滑走路のような天井を向くよう勧められたもう一つ別の部屋へ入った。それはぎょっとするようなものであったが、スピーカーの振動が私を落ち着かせてくれた。ニコラス・ムーランは写真の処理が得意なアーティストだ。彼はそれらから命を全て取り上げ、 スクリーンの空虚さは緊張をほぐしてくれる。いつもの人込みから解放されたように。


Nicolas Moulin, Aviafluenza, 2005

一週間後、二度目の滞在で私は本当にその展示会やアートワークを全身で感じた。ミルチャ・カントルのようなアーティストや作品「Landscape is changing」は、鏡を使って私達に周りへの注意を促した。ワンド・ドゥは使い古しの外字新聞で作られた作品を披露した。


Wand Du, Luxe populaire, 2001

ローラン・グラッソのことも触れておこう。彼はパリの通りを覆っている “もやもやした” 雲を表現し、9月11日の出来事、環境汚染や今起こっている話題について私たちに問いかけている。オリヴィエ・バビンの寄贈作品は、すいかの形からインスパイアされたとても “さわやかな気分になる” 絵と彫刻たちが特徴だ。


Fabien Verschaere, Once Upon No Time, 2005. A Novel for Life

最後に、私の一番好きな作品。ファビアン・ベルサールのマジックハウスだ。赤い穴が空いていて、明かりを灯しあなたの目をひきつける。このドールハウスの中には一体何があるのだろう?あなたはそう思い、言うまでもなくその中に入っていき、そして一面に広がる、幼い頃眠りにつく前話し聞かせてもらった物語たちを思い出させるような、創造上の世界に出会うだろう。より近づいてよく見ない限りは、このマジックハウスにあるイノセンスな場所は他にそこまでないことが分かる。つまり再び見ると、邪悪な世界へと変わってしまうかのように。しかしどう見るかはもちろんあなた次第だ。そしてそれはおそらくこの展示会自体に言えるのではないだろうか?
いずれにせよ、彼らの物語は「私たちの歴史」になりうる。

Notre Histoire… (Our History…)
会期:2006年1月21日(土)〜5月7日(日)
会場:Palais de Tokyo
住所:13 Avenue de President Wilson, 75116 Paris
TEL:+33 (0)1 8169 7751
https://www.palaisdetokyo.com

Text: Sarah Boisson
Translation: Miwako Nakazawa
Photos: Sarah Boisson

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