サウンズ・フロム・ジャーマニー 2005
現在、「日本におけるドイツ年 2005年-2006年」フェスティバルが日本各地で行われている。そのプログラムの一貫として、ドイツのポップ・エレクトロニック・ミュージックにフォーカスしたイベント「サウンズ・フロム・ジャーマニー」が、東京と大阪の二都市で行われた。
東京では二日間に渡り、11組の現在のドイツ・ミュージック・シーンを代表する、セニョール・ココナッツ、マウス・オン・マーズ、デア・プラン他11組のアーティストが出演した。
場所は渋谷 O-East/O-Crest。両会場ともに二日間、沢山の人が訪れ、日本におけるドイツのエレクトロニック・ミュージックへの関心の高さを表していた。特に「O-Crest」は「O-East」より小さいせいか入場制限が行われるほどだった。
その、比較的小さめの会場でライブ・パフォーマンスを行ったモノレイク。ベルリンの伝説的なレーベル、チェイン・リアクションからデビュー後、常にシーンの第一線で作品を発表し、多くのフォロワーを産みだし、また、革新的なミュージック・ソフトウェア「Ableton Live」の開発者としても活動するマルチなアーティスト。ニューアルバム「Polygon Cities」のリリースも間近に迫り、ファンのボルテージも上がり気味のこのタイミングで、しばらくロバート・ヘンケ一人で活動していたプロジェクトに、今回のアルバムでも制作に携わった、T++を加えたユニットでの日本初ライブは、モノレイク独特のクールでミニマルなトラックに空間的なサウンドエフェクトが絡み合い、彼らにしては珍しい、時たま絶妙なタイミングでカットインされたボイス・サンプルが、最近多いこの手の手法に、モノレイクなりの回答 — トレンドをフォローするのではなく、オリジナリティーある音響空間を表現する上必要不可欠な間と性質を持ったサウンド — を表現しているように思えた。
また、昨年亡くなったBBCラジオのDJ、ジョン・ピールへの追悼の意を込めて作られたという「Silizium EP」が非常に美しく、個人的にはラス・オハラのボーカルをフィーチャーしているのが気に入っているアパラートもEPと変わらず、美しくも狂ったライブ・パフォーマンスを行った。
一方、大きなホールとなっているO-Eastでは、ジャーマン・ニューウェイブの重鎮デア・プランやカンテといった新しい才能あるバンドなどがライブを行ったほか、セニョール・ココナッツとしては、日本初披露となるライブ・パフォーマンス。総勢11名のメンバーが、彼ら自身の楽曲の他、お馴染みの70年代当時、世界的に影響を与え、今尚現役であり多くのアーティストがリスペクトするクラフト・ワークのラテン・バージョンや、さらに現在渦中の人となっている、マイケル・ジャクソンの「Beat it」まで演奏するなど、実にセニョール・ココナッツらしいユーモアと音楽への愛を感じた。
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