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エヴォリューション・カフェ

HAPPENINGText: Tomohiro Okada

美術の展覧会といったら、遠めに作品を鑑賞したり、使用方法どおりに体験しなければならないデリケートなものばかりであるだろう。ここでは、実際に座ったり、会話をしたり自然とそうなることによって魅力が出るものばかり。これらの作品が日常空間に存在し、豊かなひと時が送れることを実証している作品によって構成しているのだ。展覧会を開始して二週間、くたびれること無く作品は体感の場を提供し続けている。まさにそれはプロダクトとしても成立しうる強度を持っているのだ。

このような今までのアートの常識を覆す寛ぎの空間で、人々は新鮮な驚きを心地よさを感じながら体験している。おぼろげに白く光るカウチ。作品だから座ってもいいのだろうかと最初は誰もが思う。座ってこそ作品と促され、おそるおそる座ると、誰もが笑顔に変わる。座ったとたん、ソフトな感触とともに、おぼろげにカウチが発する光の色が変わるのだ。2人で座ると色が溶け込むように変わり、3人でまた変わる。座るところが変わるとまた変わる。この光と色の変化はおぼろげにカウチの感触と同じくソフトに変わるのだ。その包み込まれるような感覚は、特に女性が驚きとともに心地よく感じるようだ。

「フワピカ」という名前のこの作品を開発したのは、八木澤優記と松山真也の東京藝大助手と技官のコンビ。光と触感の織り成す心地よさと愉しみをより多くの人に送り出すことをよろこびとし、商品やインテリアとして作品を広げようと改良を続けて、作品を発表し続ける。展示の場は、表現の場だけで無く、その感覚を味わう人々の感想を得るリサーチの場であり、実用に向けた売込みの場でもあるのだ。

それは最初に女と男を親密にさせた「サラウンディングス」も同じ、この感覚喚起効果とそれを誘うデザインとパッケージングは、次世代コンピュータやユビキタスの実用化を目指す最先端の研究者たちから頼られるものとなり、これら近い未来を実現するための試作や提案のためのデザインの要請に応えるために同名の会社を会場近くに構えたばかりなのだ。

ゲームが取り持つ仲もある。クワクボリョウタの名作「ループスケープ」。円筒型のスクリーンに、ドット絵によるシューティングゲーム。円筒をぐるぐる廻り、自分と相手を探しながら攻撃と防御をする単純だが、体を動かすゲームは、一緒に楽しむ連帯感を感じさせて、二人に笑みを与えてくれるのだ。

もう一つのクワクボによる出展作品は「ヴォモーダー IT デボリューション」。世のIT革命を嘲笑するようなタイトルのこの作品は、昔懐かしい丸型テレビを髣髴させるボディーに実装された「テレビ電話」。ただし、このテレビ電話は正しい情報を与えないかもしれない。なぜなら、電話の画面にはかわいいドット絵顔文字のキャラクターがつぶらな瞳で待ってくれている。話すと相手の声に反応して、このキャラクターがおしゃべりしているように動く。怒っても泣いても、わめいても、つぶらでかわいいままの顔でおしゃべりするキャラクター。その可愛らしさの前になごむしか無くなってしまうのだ。

『デジタルだから正しく情報が伝わるべきだ。ということが無くてもいいと思う。少しくらい正しくない部分があった方が豊かな関係になることもあるのではないか』とクワクボが考えて作ったこの「テレビ電話」、幼い少女が受話器の向こうのお母さんにお話をせがんでいる。せがんだ向こうのお母さんの方のテレビには、大きく口を開けたキャラクターが同じくせがんでいる。受話器を持つお母さんの顔もまた微笑んでいる。

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