ピート・ファウラー

PEOPLEText: Yasuharu Motomiya

デザイナーという仕事を始めるきっかけは?

アートスクールでいろいろなことをやったんだ。ペインティングやスカルプチャーを作ったり、プリンティングとかね。大学を卒業してから友人とコミックを描いてたんだ。それが最初のプロフェッショナルとしての仕事かな。大学に行ってとても幸せだったと思うよ。大学の3年間は、僕にとってはとても重要だったと思う。スタジオを持ったり、ワークショップをやったりね。アートに関わってたことで、今の仕事をしてると思う。友達と描いたコミックは2つあるんだけど、一つはUFOの話なんだ。もう一つはクレイジーな話。面白いという意味でね。どんな作品でもユーモアが重要な要素になってたね。

いつ自分の表現活動について確信を持ちましたか?

コミックを作ってる時は、プロの仕事というよりは、趣味といった感じだったよ。なぜかというと、コミックは、作るのにお金があまり掛からないからなんだ。僕の最初のメジャーステップと感じてるのは、スーパー・ファリー・アニマルズの仕事をした時かな。最初はとても混乱したよ。クライアントとかといろいろ話をしなきゃいけなかったし。コマーシャル、プロフェッショナルエリアで、僕のアイディアとどうコミュニケーションをとっていくかという意味では、僕の最初のステップになったと思う。
僕にとってのポイントは、楽しめるかどうかってことなんだ。趣味の域でもプロフェッショナルな域でもね。僕のやっていることは、僕の人生でもあるわけだからね。もちろん趣味とプロの仕事の違いはあるよ。例えばクライアントと話したりすることとか。でも、いつでも僕は同じ情熱とフィーリングを持つようにしてると思うよ。それが大切だからね。それをなくしたらもう楽しめないと思う。

今まで、影響を受けたものは何ですか?

僕は、いろんな人やモノに影響を受けたと思うけど、一番は7年前に日本を訪れた時だと思う。その時に、水木しげるさんとコラボレーションしたんだけど、彼の影響はとても大きいと思う。彼の作品は、とてもリッチだし、信じられるし、ユーモアに溢れてる。彼の作品は、日本の民話などに影響を受けているところが、とても素晴らしいと思う。それは僕の目指してることでもあるんだ。

今までの仕事で一番楽しかったことは?

もちろんフィギュアさ。小さいときは、コミックを描いたりするのが好きだったんだ。おもちゃも好きだったよ。こんなフィギュアを作ることができるなんて、夢にも思ってなかったことなんだ。僕にとって2Dで思い描いてたことが、3Dになるなんて、とっても理想的なことだよ。ここでもコミュニケーションが大切なんだけど、人はフィギュアを家に持って帰ったり、もっとフィギュアを集めたりして、フィギュアのことを考えたりすることができるよね?それが僕の考えてることでもあり、コンセプトでもあるんだ。いまだに、自分がこの仕事をしているなんて信じられないよ。朝目覚めて、僕はなんてラッキーなんだって思うことがよくあるよ。

どのようなプロセスで作品を作るのですか?例えばテクニックとか。

僕のスキルは描くことだけだよ。ソフトウェアは、誰だって学べる。僕は、フォトショップやイラストレーターを使うけど、それは誰でも学べることなんだ。だけど、ドローイングは違う。ドローイングのスキルが唯一自分の中で信頼できるものだね。

オリジナルであることは重要な要素だと思いますか?

オリジナルであることを目指すことは、とても大切なことだと思う。コピーをして学んで自分を発見することはできるけど、時間は掛かるよね。沢山の新しいアイディアは、僕らの周りに一杯あるんだ。アイディアをただ生み出すんじゃなくて、それにいろいろなアイディアをくっつけたり、いろいろな角度から見てもっともっとオリジナルにしていくことができるし、プロダクティブになっていくと思うんだ。それにオリジナルのほうが情熱がこもってるよね。だからオリジナルであることは、大切だと思うし、僕もそれに重きをおいてるよ。

最後に読者の皆さんと、これからクリエイターを目指す人に一言お願いします。

2年くらいすごく貧乏な時があったんだけど、でも自分の信じた道にしがみついてることが、とても大切なことだと思う。お金より大切なことは、情熱なんだ。もしクリエイティブになりたいんだったら、自分が今してることを続けることだね。時には成功しないこともあるけど、なぜ成功しなかったのか見つめ直すこと。その理由を見つけることが大切なんだ。成功するまでには、我慢することもある。誰でもそういう時はあるもんだよ。重要なことは、集中し続けることだよ。自分の道を進み続けることなんだ。

短い間で行なわれたインタビューだったが、どんな質問も丁寧に答えてくれ、一緒にいる人間に好印象を持たせる人物だった。話を聴いていると、こちらもポジティブな気持ちになれるし、クリエイティブになることは難しくないように思えてくる。そんなパワーを持ったクリエイターだった。もちろん才能も必要だけど、情熱、続けること、そして楽しむことが大切なんだということが伝わってきた。これは別にクリエイトすることに限ったことじゃなく、普通に生きていくためにも重要なことだと思う。

セーラム・イノベーション・セッション 2004
ゲスト:ピート・ファウラー
日時:2004年4月17日(土)
会場:渋谷 WOMB
TEL:03-5468-6382

Text: Yasuharu Motomiya
Photos: Yasuharu Motomiya

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