ピート・ファウラー

PEOPLEText: Sachiko Kurashina

大人でもついつい集めてしまいたくなりそうなユニークなキャラクターを、独自の世界「モンスタリズム」や「ファウラリズム」で作り出しているロンドンのイラストレーター、ピート・ファウラーが、サイモン・パイクと共に今月のカバーデザインを手掛けてくれた。

日本企業とのプロジェクトも多くこなし、大阪のアパレルブランド「サタンアルバイト」のデザインを手掛けるなど、これから増々彼のテイストに触れる機会が増えそうな嬉しい予感がする。

まずはじめに、自己紹介をお願いします。

ピート:フリーのイラストレーター、アーティスト、モンスターメーカーとして活動しているピート・ファウラーです。主にイギリスと日本で活動をしています。クライアントはソニー・クリエイティブ・プロダクツからスーパー・ファーリー・アニマルズまでと幅広いです。私のバックグランドも元はファインア-トで、現在働き、住居を構えるロンドンに引っ越してくる前は、自費出版をした漫画「SLOUCH」を含む色々なプロジェクトに関わってきました。

サイモン:サイモン・パイクです。2年前にブロードスナウトというデザイン会社を設立し活動しています。今はウェブデザインからテレビのアニメーションまで、あらゆることに挑戦しています。私のバックグランドは、ファインアートです(ピートとは1989年にアートスクールで出会いました)。

今月号のカバーデザインですが、何をイメージしてデザインしましたか?今回のデザインで苦労した点、特にお気に入りの点を教えて下さい。

ピート:私もサイモンも、何かシンプルで遊び心のあるインタラクティブなものを作りたい、と思いました。そこで私達は、ある一つのキャラクターとそれが作り出す動きに集中することにしたのです。このキャラクターは「HAPPY EXECUTIONER(殺し屋)」と呼ばれる以前制作したキャラクターがベースとなっており、HAPPYの子供バージョンで「BABY EXECUTIONER」といいます!可愛さもあり、小悪魔的なキャラクターになってほしかったですし、また見る人たちがそれで遊んでくれるようなキャラクターになってほしいと思いました。アイディアのシンプルさと、サイモンが解決しなければならないコードに関するチャレンジにぶつかった時に難しさを感じました。

またカバーは、サイモン・パイクとの合作だと聞きましたが、サイモンの紹介と、共同作業ということで、どのようなプロセスを踏んで制作にあたりましたか?

サイモン:ピートと私は、卒業制作発表会の作品を共同制作する等、アートスクール時代から多くのコラボレーションを行ってきました。ピートに自身のウェブサイトを作ってみないか?というアイディアをもちかけたのは、私の修士号取得の為のファイナルプロジェクトのためでした。それが私が手掛けたフラッシュを使った初めてのプロジェクトでしたし、成功に結びつけることができました。私達は仕事をする上でとても良い関係を保っていますし、クリエイティブな過程において発展できるアイディアも持ち寄っています。今回このカバーデザインを制作するにあたって、ピートには真っ白な背景にキャラクターを置きたい、というアイディアがありました。そこからは、キャラクターをどうにかしてコントロールする為のインタラクティブな要素を発表しているのは明らかだと思います。しかし、このコントロールをランダムにし、若干ふざけた感じを残したかったのも確かです。このようなアニメーションによって補うことのできる現実的なエレメントが、ピートのキャラクターの中にはあると思います。キャラクターの全ての動きはフラッシュのスクリプトによって作られました。これはファイルサイズの点においてデザインの軽さをできるだけ保ちたかったからです。

ピート:私達はお互いにお互いの作品をとてもよく理解していると思っています。だから一緒にコラボレートすることにも居心地の良さを感じますし、作品が逆流し始めたり、クリエイティブな過程の中で私達の間を行ったり来たりすることで、プロジェクトも組織的に成長していきます。ラフなスケッチブックやストーリーボードからアイディアが生まれることがよくあります。そこから私はイメージをイラストレイターで用意してサイモンに渡します。その作品がフラッシュに移されると、制作過程においてどう作品が発展していくか、どのようなアイディアを追加させていくことができるかについて話し合います。

サイモンは、個人では他にどのような仕事/プロジェクトをされていますか?

サイモン:最近は、色々なプロジェクトを手掛けています。スーパー・ファーリー・アニマルズのDVD「RINGS AROUND THE WORLD」にピートと映像作品を2本制作しました。「スクラバブル」というオンラインゲームを作る為に、フューチャー・サウンド・オブ・ロンドンと仕事をしたりと、おびただしい数のウェブプロジェクトに関わってきました。共同的な仕事、プレゼンテーション、インターフェイスデザイン等も多く手掛けています。

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