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リュック・フェラーリ

PEOPLEText: Roberto Bagatti

音が歴史を表現できるという事でしょうか?

音が歴史と関係しているとは考えていません。私の専門は社会学ではありませんし、心理学者でもありません。ただ、インスピレーションで作品を作る感性が、人より鋭いだけのことです。私は、そういった専門家のためではなく、自分やそれを聞いてくれる人のために、直感で音を作るのです。

以前、どこかのインタビューで、歌にはそれほど興味がなく、歌声よりも話し声を大切にする、と答えているのを見たことがあるのですが、その違いは何なのでしょうか?

いえ、そんなことはないです(笑)。その2つには、どのような種類の声をだすことができるかという点で大きな違いがあります。例えば、ラジオでなら何かを見ながら話すことができますが、ステージでは話すことを覚えなくてはいけません。声というのは自然発生的で、即興的なものが良いと思っています。私が曲の中で声を使う時は、音としてではなく、意味を持つ言葉として使うようにしています。


Olivier Messiaen: Et Expecto Resurrectionem Mortuorum, 1965

有名な作曲家オリヴィエ・メシアンのリハーサルシーンや、マルセイユで開かれた、自身の展覧会「サイクル・ドゥ・スーベニア」のドキュメンタリー番組の制作もしていますが、作曲家/映像作家として、制作過程において大切にしていることは何でしょうか?

私は基本的に、「聞く」ことに興味があります。私はこれまで、いかにして良く「聞く」かを学んできました。自分は、聞くことのプロだと思います。ただ、ビジュアルを見る目も、もちろんあります。本能的に、音とビジュアルを結び付けるのがとても好きなので、2つを一緒に考えることも、もちろん切り離して考えることも私にとってそんな難しいことではありません。映像のプロではありませんが、音を構成するように、映像を構成することができます。また、自分はプロではなくアマチュアということで、自分が面白いと思うものを映像化する自由を持つことができるという面もあります。

コンテンポラリー・ミュージックとエクスペリメンタル・シーンの関係についてはどうお考えですか?また、どんなものを好んで聞きますか?

いろいろなものを聞きますし、沢山アルバムを持っています。その中には、好きなものもあれば、そうでないものもあります。私が興味を持っているのは、物事がどのように繰り返されているかという点です。例えば、どのように現代のエレクトロニックシーンが、50年代のミュージック・コンクレートと関連しているのか。今、若いミュージシャンと一緒に演奏するのをとても楽しんでいます。当事は不可能だった、その場で音をミックスするということができるからです。

Text: Roberto Bagatti
Translation: Naoko Fukushi
Photos: Roberto Bagatti

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