バンクーバー・パフォーマンスアート・ビエンナーレ 2003

HAPPENINGText: Aya Takada

ピクニックテーブルいっぱいに広げられたプレストンの手作りランチを会場に訪れたオーディエンスが頬張る。食べる行為が、プレストンのパフォーマンスアートの一部であることが分かると、拒むことなくランチに手を伸ばす。「ピクニック」に参加することで、プレストンのパフォーマンスを完成させようとオーディエンスの意識が高まっていた。

会場に遅れてきた人々は、残りわずかなランチを目の前にし、「これは?」と状況を把握しようとする。「おいしいパイをキミは逃したね」「スープさめちゃったよ」といったオーディエンスの会話から、ライブパフォーマンスという各日限りのアートフォームが重視する「プレゼンス」の時間や空間の意味を感じることができた。


Mima Preston and Julia Feyer at Crying room

パフォーマンスアートに対する軽視や認知度の低さを改善する決定的な解決策を見つけることが、このフェスティバルの意図ではない。パフォーマンスアートのパブリックへの浸透により、理解を高めるのが主旨である。フェスティバル後も、バンクーバーのあらゆるところでパフォーマンスアートについて語られれば、パブリックの意識が高まったといえるに違いない。

Vancouver Biennial of Performance Art 2003
会期:2003年10月18日(土)〜11月29日(土)
会場:バンクーバー市内各所
https://www.livevancouver.bc.ca

Text: Aya Takada
Photos: Aya Takada

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