ジュヌビエーブ・ゴクレール
PEOPLEText: Naoko Fukushi
デザインされたキャラクター達をみていると、違った世界に入り込んでしまったのかと思う程、そこには独特の世界が作り上げられている感じがします。あのようなキャラクターは、どのように生み出しているのですか。
いろいろなところで見つけた様々な形をサンプリングして制作しています。例えば、シンプルな円や線のような形から様々な形まで、自分の巨大なデータベースから引き出して、それをミックスしていきます。プロセスはとても単純ですが、とても時間がかかります。イラストレーターファイルや写真など沢山のものを集めてCDに保存しているのですが、そのままだとぐちゃぐちゃで分けが分らなくなるので、音楽のように、いくつかのイメージの種類に分類して、新しいデータバンクとして保存し直しています。
キャラクターを作るのは割と簡単で、一つの円を身体に、2つの円を目に、2本の線を腕や足に、というように単純なものです。顔の表情はありません。なぜなら、背景となる絵こそがとても重要で、そこからどんなエモーションを感じるかは見る人それぞれに委ねられればと思うからです。白黒のキャラクターを用いたコミック本を制作しましたが、それがとてもいい経験になっています。
作品集の中で「20代のときに、失くなってしまった、とかげのぬいぐるみの足を飛行機のプラモデルの部品で作った。」と書かれていますが、異なった物を組み合わせるというスタイルはそのころからあったのですか?
もっと前からそういうことがありました。写真とドローイングのコラージュやストローとスパゲティで立体物をつくったり!小さい頃からそういうことをしていました。
PLEIXの一員としても活動をされていますが、ここでは、主に映像を制作しているようですが、静止画と比較して、映像で面白いところは何でしょう?
そうです、PLEIXの7名のメンバーのうちの一人として参加しています。PLEIXは、2年前に様々な分野の集合体として結成しました。
静止画に動きをつけるということは、絵に命を吹き込む、一番良い方法だと思います。自身では、プリントの世界からキャリアをスタートしたので、イメージを動かすということは、私にとって魔法のようなものです。また、PLEIXのメンバーの一人でもある、BLEIPとの仕事は、音楽やサウンドデザインの重要性をいつも気付かされます。
PLEIXについて、もう少し詳しく教えてください。
PLEIXは、3Dアーティスト、グラフィックデザイナー、ミュージシャンのBLEIPなどからなる、7人のチームで、2001年に結成しました。主にモーショングラフィックとフィルムを制作しており、私はその中で、グラフィックとアニメーションを担当しています。これまで、「イー・ベイビー」、「サムタイムス」、「クリックス」、「ノー」などのオリジナル作品や、「アスリート」、「フューチャー・ショック」などのミュージックビデオを制作してきました。そして今後は、ミュージックビデオに加え、コマーシャルもやっていこうと考えています。
PLEIXでは、一つのプロジェクトを全員で取り組まずに、2人から4人くらいの小さなチームで動きます。私たちは、何かしっかりした組織でもないし、会社でもなく、オフィスさえありません。スキルとアイディアを共有する友達同士のような繋がりです。
フランス、パリのクリエイティブシーンについて、興味深い動きは何かありますか?
自分よりも若い世代のグラフィックデザイナーを探していますが、なかなか見当たりません。ポストM/Mはどこにいるのでしょう?
今回、手掛けていただいたカバーデザインのコンセプトを教えてください。
自身の次のステップとして、白黒のベクターキャラクターと写真の合成によって、ストーリーをつくり出し、イラストにエモーションを与える試みをしてみました。
今後の予定について教えてください。
自分のスタイルを作り続けること。将来は、コミック本や、ショートフイルムを作りたいです。また、PLEIXのミュージックビデオやコマーシャルの仕事も続けていければと思っています。 チームでの仕事と一人でする仕事を両立していきたいと思っています。
読者にメッセージをお願いします。
日本のカルチャーは大好きです。いつか東京や京都など日本を訪れてみたいです。田舎の方にも行って、トトロにも会いたいです。
Genevieve Gauckler
住所:17 avenue Trudaine, 75009 Paris
TEL:+33 (0)1 4023 0413
genevieve@g2works.com
https://www.g2works.com
Text: Naoko Fukushi