FAD マガジン

THINGSText: Tim Spear

FADという、アートとアートの境界線について追求する雑誌がある。最近発行されたばかりのこの雑誌は、デザイナーのダン・サンプションとマーク・ウエストールの発案によるものだ。

FADは、ポスター、カード、小冊子、CDカバー、折り紙、ジャケットカバーのデザインなど、ついつい集めたくなるような「おまけ」も付いており、雑誌という枠を越えた雑誌だ。

様々なフィールドで活躍しているアーティストやミュージシャン、ライター、はたまたギャンブラーまでがこの雑誌のコントリビューター。FADが手当たり次第に用意したテーマを彼らがそれぞれひとつずつ選び、作品を制作して行くのだ。作業の進め方、表現方法はテーマに沿っており、設定されたフォーマットに収まっていれば各自自由。ひとつとして似通った内容はないのである。

FAD3号では「消費」についてフィーチャー。「ブレア首相の無駄なプロジェクト」「キジから糞まで」と題された記事から、シンク1制作の「最期の晩餐」や、ラジオボーイ制作の「破壊の方法」といった作品が紹介されている。

彼らに、最新号やデザインに込められたアイディアについて伺ってみたところ、ページ見開きは、上下に構成されており、すべての雑誌が同じ向きで表示されるという考えに疑問を投げかけている。どのページもがモノクロで、そこに一色だけさり気なく使われている。一番最初のページは、マゼンタ一色。そして次々とページを進めて行くうちに、徐々にシアンに変化して行く。合計で、30ページに渡る色のグラデーションになっているのだ。写真もそのページの内容に応じて適宜に配置。全ページの角には、必ず「FAD」の頭文字を見つけることができる。例えば「Face Another Diagonal」の頭文字も「FAD」だし「Float And Drown」の頭文字も「FAD」といった具合だ。ページの右下には、パラパラ漫画の仕掛けもある。

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