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アメデオ・パーサ

PEOPLEText: Gisella Lifchitz

11月30日、アルゼンチンの首都、ブエノスアイレスで第6回ブエン・ディア・フェスティバルが開催された。通年通りフェスティバルは、エレクトロニック・ミュージック、ファッション・デザイン、料理、おもちゃなどで溢れ、大盛況となった。

今回のこのフェスティバルの企画を担当したのが、アメデオ・パーサ。心優しく、エネルギーに溢れる彼からは、このプロジェクトにかけるプライドや謙遜も込めて、どのように氷山をすり抜けたかについても話を聞くことができた。

アメデオ・パーサは小柄な男だ。実際には24歳だが、その風貌からは十代にも見える。彼と会った時、どうやって彼が全てを賄っているのか?と疑問に思ってしまったほどだ。今ではアルゼンチン国内外でもその名を知られるようになったパーサ。誰よりも高く飛躍すること、これが彼の目標だ。アイディアについて話す彼は、実際よりも大きく見える。かろうじて彼の体に納まっている、といった感じだ。

彼と会ったのはオールド・パレルモにある、さびれた感がある静かなバー。それにもかかわらず、彼に挨拶をしたり、手を振る人は後を絶たなかった。フードのオーダーについては、極めて細かかったパーサ。まだ経験が浅いウェイトレスの応対に、彼が怒ってしまうのではないかと、私が不安になってしまったほどだ。

「ブエン・ディア」(スペイン語で「良い日」という意味)には実際のところ、どういった意味があるのでしょうか?

ブエン・ディア・フェスティバルは、アルゼンチンの文化的イベントの中では、最も意義のあるイベントになってきていると思います。3万人以上の人が公園に集結します。このイベントを何かのフェアだと思っている人もいますし、ショーとかメインストリームと思っている人もいます。トレンドを幅広く紹介する、ということがメインですから、どれをとっても良いことには変わりありません。これは、社会に向けたアート色が濃いイベントです。なぜ社会かと言うと、それはイベント自体が公共の場で行われ、文化的なオプションとして、コマーシャル的な交流が行われることが目的とされているからです。

現代のプロダクトを扱ったフェアとしては、初めてのものでしたし、今では180種類にも及ぶ料理、服、デザイン、音楽をショーという形でミックスしたものになっています。

ブエン・ディア・フェスティバルの根本的なアイディアはどういったものなのですか?

僕自身、音楽を作る人間です。個人的にアルバムを作った経験があり、それをライブで発表したいと思いました。午後の公園で、他のバンドも何組か交えてプレイしたらどうか?というアイディアが浮かんできました。私が一番最近にパフォーマンスを行ったのは、第1回目のブエン・ディア・フェスティバルです。その後のステージは、ある程度のキャリアや、業績を持ったミュージシャンに提供しています。

今でも音楽は作っているのですか?

はい。でも、世界を繋がりを強めるために、音楽を使うことはやめました。このイベントに全力投球している間は、音楽は私の中では一旦停止させています。

彼と会えて、その日はとても良かった。雲の多い空の向こうで、大きな嵐が迫ってくるような日。風が朝から吹き始め、その日の予定を土壇場になって変えた人もいたことだろう。しかし私の中には、この風に反してでも、フェスティバルは行われるだろうという予感があった。何か胸打つものを、体の中で感じたからだ。その予感が、私を混雑する公園へと導いた。会場は身動きもできないほどの大盛況ぶり。やっと見つけた空間も、様々な音が混ざって、エコーとなって渦巻く場所であった。

しかし、音楽、雨、車の騒音などが混ざった音は、まるで70年代に戻ったような、良き日のアルゼンチンに戻ったような、愛や平和に満ちた新しいコミュニティーに居るような気持ちにさせてくれたのだ。『難しいことは何もないのです』と、じっと見つめながら語るアメデオ。『でも、もしかしたら難しいのかも知れないし、もしかしたら何か私達自身が痛みを感じなければいけないのではないかと思ったりもするのです。』

フェスティバルの定義は何でしょうか?

パーティー、ミーティング、再会、ファンタジックなショー。結束すること。必要なものは全て自分の身の回りにある、という感覚。たとえ自分の存在が小さく思えても、大きなものを作ることを促してくれるもの。ビジネスでもあるし、自分自身が成長できる場でもあります。困難をすり抜けることで、良い方向へと向かっていく。明日には、違うことを言ってるかもしれませんけどね。

どのような人達がこのフェスティバルには参加されていますか?

心が広く、自由で活発な人です。この世界には、私達の手で良いものにしなければいけない何かがある、というのを理解してくれている人達です。地方の人もいますし、公園の近所に住んでいる人もいます。控えめな人もいますし、ビジネスマンもいる。お母さんやおばあちゃんに連れられてくる子供もいます。フェスティバルでは、今までに目にしたこともなものに遭遇できるのです。

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