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レスフェスト 2002

HAPPENINGText: Chiaki Sakaguchi

世界最大級のデジタルフィルムフェスティバル、レスフェストのジャパンツアーが、11月下旬から12月にかけて、ラフォーレミュージアム原宿(東京)、なんばHATCH(大阪)の2カ所で開催された。ここ数年のデジタル映像技術の進化が、アートや音楽・デザインのクリエイターにもたらした影響は計り知れないが、そうしたデジタル表現の「今」を、ショートフィルムという形にフォーカスして紹介し、これからの映像表現を占おうという、年に一度の祭典がレスフェスト。今年も9月のサンフランシスコを皮切りに、世界十数カ国を巡回中だ。その東京会場の模様をレポートする。

レスフェストのプログラムは主に3つ。独自のカテゴリーに編成された最新映像の上映会、クリエイターの意見交換の場となるワークショップ、ゲストを迎えたトークの3本。それを4日間のスケジュールにちりばめる、という方法で紹介されている。連日、原宿に群がるキッズたちをかきわけ、ラフォーレ原宿の最上階へ通うのはどっと疲れたが、とにかくそんな喧噪すら追い風にするかのように、連日ほぼ満員近くの観客で賑わっていた。
『本当に多くの人が訪れるようになりました。ようやく人々がレスフェストの楽しみ方を見いだしてきたのかな、そんな感じがします』。1999年の第1回目のジャパンツアーからプロデュースを勤めるニューズベースの栗原元哉氏は、今回のレスフェストの印象を語った。

レスフェストの楽しみ方は、ショートフィルムの楽しみ方、とも置き換えられるかも知れない。ミュージックビデオ、広告などで日常的に目にする映像を、一個の作品として鑑賞することにすっかり慣れてきたし、また、比較的作りやすいショートフィルムを作るデジタル技術の普及も、その関心を高めている要因だろう。つまり、作り手にも見る側にもなんだか敷居が低いのがショートフィルムであり、その集積であるレスフェストも、なんだか見ているうちに、自分でも作りたくなってくる、そうしたDIYスピリットが全体に漂っている。そもそも1996年スタートしたレスフェストの前身が、“low res festival”(解像度の低い映像をショーケースするフェス)だったところがすでにインディーな何かを物語っている…。

上映作品のプログラムは、世界各国から寄せられた1500以上もの募集作品の中から選出した約150本を中心に構成されている。ロックに特化したミュージックプログラム「Videos that Rock!」、ロードムービーだけを集めた「Drive Me Crazy」、デザイン系に焦点をあてた「By Design」、ドキュメンタリー映像の「True Stories」など、ユニークな1時間20分のフッテージが全部で13本と、かなりのボリュームだ。
そして、今回の一押しは、来日ゲスト、イギリスのジョニー・ハードスタッフ、アメリカのローガンのワークショップとトーク、11月23日のクリス・カニンガム特集。


Johnny Hardstaff Photo by Mike Sheetal

ジョニー・ハードスタッフがレディオ・ヘッドのミュージックビデオとして制作し、ショッキングな映像で論議を巻き起こしたという「Pulk/Pull Revolving Doors And Like Spinning Plates」は、巨大な遠心分離器にかけられたシャム双生児が切り離されるという比喩的な8分におよぶ作品で、ストイックでフェティッシュな画面とレディオ・ヘッドの漂流するようなメロディが共鳴しあって一つの世界を表現しており、何度見ても飽きない不思議な映像だった。


Information Contraband Dir: Logan, Music: Money Mark

一方、西海岸のデザインチーム、ローガンのデビュー作 「Information Contraband」は、ビースティ・ボーイズのキーボード奏者、マニー・マークの曲にのせて、タイのB級アクションムービーをパロディ化した痛快なエンターテイメントビデオを実写とアニメーションで展開。ワークショップでは、グラフィックデザインをバックグラウンドに持つ彼らの創作活動も紹介された。

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