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ナンド・コスタ

PEOPLEText: Sachiko Kurashina

11月にドイツの美術書籍出版社、ディゲシュタルテン(DGV)からブラジル・インスパイアドの本とDVDが発売されるそうですが、この本ではどのような役割ですか? またプロジェクトの内容について教えてください。

アメリカに居た時に、ブラジルについていくつかおもしろい質問を受けたことがあるのですが、それがこのプロジェクトに関するアイディアへと繋がっています。多くの人が外国について良く知っているわけではないのだなと、様々な経験を積むうちに分かってきました。アメリカ人全員がそうだとは限りませんが、特に海外旅行をした時などは、彼等が持つブラジルのような国への見解は乏しかったりするのです。

そこで私はグラフィックアーティストを集め、彼等が持つブラジルの印象を表現してもらう、という企画を出版社のDGVに提出したのです。アーティストには、ブラジル文化の様々な局面を選んでもらいました。彼等の中にはリサーチのために実際にブラジルに行った人もいますし、そうじゃない人たちは、彼等が聞いた情報を頼りに作品を制作してくれました。プリントとアニメーションの作品は驚くべきもので、それによって素晴らしいプロジェクトを来年の春にリリースすることができそうです。このプロジェクトでの私の役割は、アイディアを明確なものにし、アーティストを集め、作品提出の管理をし、DGVのスタッフとコンテンツの編集を行うことでした。

テーマである「ブラジル」という一つの国に焦点を当てている作品は、それだけでも興味深く、その制作プロセスも気になります。制作プロセスについて教えてください。また実際にドイツに滞在し、プロジェクトを進められたのですか?

直接DGVのスタッフと打ち合わせをするために、実際にはベルリンまでは行きませんでした。最終段階に至るまでの約6ヶ月、連絡はメールや電話で取り合いました。アーティストの手配も、全てインターネットを通じて行いました。

そしてこちらの作品は、11月に日本に上陸するレスフェストでも上映されますね。ナンドさんもツアーで世界中を廻られるのでしょうか?また、日本で自らの作品が紹介される事についてはどう思われますか?

このプロジェクトのために制作されたモーション作品が、レスフェストの舞台で発表されるので、とてもわくわくしています。レスフェストで自分の作品を発表できれば良いなと長い間思っていましたし、素晴らしい機会に恵まれたと思っています。このフェスティバルの世界ツアーには残念ながら参加できませんが、ツアーがリオに来た時には是非とも参加したいです。日本のクライアントとの仕事も私にとっては長い間願っていたことで、その機会にも恵まれました。日本のマーケットでのプロジェクト展開も夢です。

ブラジルは、日系人の方々が多くいたり、日本との繋がりもありますが、個人的に日本についてはどのような印象をお持ちですか?

日系人の方達の数は、ブラジルが最大ではないのでしょうか。彼等のほとんどがサンパウロに住んでいます。私が高校生だった頃も、友だちの何人かは日系人でしたし、そのことが私にとって、日本の文化に対する印象を形成するのに影響が大きかったと思います。私が今までに会った日系人の家族は、どれもとても礼儀正しく、友好的な人たちばかりでした。その反面、何組かの両親は子供達にとても厳しかったですけどね。日本の文化にはかなり感銘を受けていますし、近いうちに絶対、東京に行ってみたいです。

今回制作していただいた、今月のカバーデザインについて教えて下さい。何をイメージして作られましたか?また、この作品に込められたメッセージは何でしょうか?

このアニメーションでは、生きることと死ぬことの狭間にある変換が表現されています。この生と死の輪廻は、ハートのイラストレーションで表されており、生きることをうながすレイヤーによって明らかにされ、そしてカバーされているのです。スムーズで速いアニメーションを制作したかったのと、フラッシュにはない効果を付けたかったので、この作品ではクイックタイムを使用しました。生きることは信じること、そして生きることを楽しまなければいけない。これが私がこの作品を通じて伝えたいメッセージです。最近仕事をし過ぎると、何だか時間を無駄にしているような気になる時があります。今とは違う、何か別なことをするために努力を重ね、その傍ら、自分自身のアート作品を制作できればいいと思います。

現在どのようなプロジェクトを手掛けていますか?また、デザインを通じてのこれからの活動展開についてどのようなビジョンをお持ちですか?

今はちょうど、作品集の制作に取り掛かったところです。過去に制作した作品だけではなく、この作品集のテーマに添った新しい作品も収録される予定です。ブラジル・インスパイアドのサイトではDGVから発表される作品だけではなく、ブラジルのデザインコミュニティーを更に強力にし、世界中のグラフィックアーティストに赤道の下で何が起こっているか、を伝える役割があります。

現在行っているプロジェクトの中で重要なものの一つとして、私のサイトにあるショップが挙げられます。タイプフェイス、ポスター、服、その他のグッズを購入することができます。

最後にシフト読者に向けて、メッセージをお願いします。

直感を信じてみて下さい。もしかしたらこれは、ある人にとっては不適切なアドバイスかもしれませんが、でも私は常に直感に従って来ました。難しい状況に陥った時、直感に従えばいつもベストな選択をすることができました。私の作品制作のプロセスも、その時に思いついたままに進められています。直感を信じることは、私の中に常に存在する姿勢なのです。

Text: Sachiko Kurashina

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