「バヤグル:オーストラリア現代先住民のコミュニケーション」展
HAPPENINGText: Luca Ionescu
オーストラリアに住む先住民が築き上げて来た文化は、世界全体のいかなる文化の歴史よりも長く、現在も続いているものだ。この広大なオーストラリアの大地との関係を彼等は形成し、過去と現在両方において、オーストラリアでの生活のユニークな面を垣間見せてくれる。
「バヤグル」(BAYAGUL)という言葉がある。この言葉はシドニーの先住民族、エオラ族の言語で「大きい声で発言する」という意味だ。オーストラリアには現在、350にも及ぶ先住民の言語が存在する。現在、オーストラリアの先住民文化を紹介する新しいギャラリー、ザ・パワーハウス・ミュージアムの常設展として「バヤグル:オーストラリア現代先住民のコミュニケーション」と題した企画展が開催されている。
会場では、マルゲク・カンパニーのダンスに始まり、数々の受賞歴のあるアボリジニのデザインユニット、メリマ・グループの見事な建築デザインから、オーストラリア初の先住民テレビ局である「インパラヤ」の子供向け番組「ヤンバ・ザ・ハニー・アント」の人気キャラクター、アンティックまで、現代アボリジニとトレス海峡諸島民のコミュニケーションのメッセージに、まず引き寄せられることだろう。
Mimi © Marrugeku
本展では、今日のテクノロジーや産業を通じて表現されているオーストラリア先住民のアイデンティティの側面を明らかにしている。アボリジニとトレス海峡諸島の人々は、映画、ダンス、音楽、建築、観光、メディア、ファッションなどを通じて自分たちのメッセージを発信している。パワフルな現代デザインの面白さと、彼等が繰り広げるダンス、音楽、そしてフィルムをフィーチャーした教育的インタラクティブ視聴覚ディスプレイを通じて、コミュニケーションを計っているのだ。
Meet Me at the Mountain © Bronwyn Bancroft
ジミー・リトル、ブロンウィン・バンクロフト、トレイシー・モファット、レイチェル・パーキンス、デボラ・メイルマン、ジャスティン・サンダース、バンガラ・ダンス・シアター、マーヴィン・ビショップ等、その活躍が注目されている現代先住民アーティストやパフォーマーの作品からも、本展のメッセージを感じることができる。旅行業、ファッションと織物、パフォーマンスアート、そしてメディアという4つのテーマから成るこの展覧会では、オーストラリアのカギとも言える人物に触れることができる旅に出られるのだ。
7月10日から新しい展示もスタート。現代の先住民コミュニケーションに焦点を当てた展覧会では、鞄、クーラモン(アボリジニの木製容器)、魚網等、食料採取に使われた道具を通じて、オーストラリアの風景と共に、インタラクティブなストーリーを紹介する。
Bayagul: Contemporary Indigenous Communication
会期:2000年5月23日〜2007年4月10日
時間:10:00〜17:00(木曜日18:00〜21:00)
会場:Powerhouse Museum
住所:500 Harris Street, Ultimo, Sydney NSW 2007
TEL:+61 612 9217 0111
https://www.phm.gov.au
Text: Luca Ionescu
Translation: Sachiko Kurashina
Photos: Courtesy of Powerhouse Museum