レスフェスト 2001
No Words / 言葉なんて…(USA/5:10/2001)
監督:出演者と同じ
ぐるぐる歩き回るカメラ、めくるめく字幕と主音声の遊び、同じことの繰り返しに見えて、なんだか途中から頭の回転がついていかなくなります。刷り込み本能をくすぐる賢ーい作品。マフィア「ファミリー」の命名美に酔って下さい。
19-2000: GORILLAZ / ゴリラズ(UK/4:01/2001)
監督:Jamie Hewlett, Peter Candeland
アニメバンド、ゴリラズ。その一貫した姿勢の重要な「マーケティング用具」でもあるミュージックビデオだけに、ビジュアルの強さ、スムーズさは断トツです。日本では喝采が聞こえてきそうな箇所がそこここに織り込まれてます。今年のレスフェストのプログラム兼、レス誌5周年記念号の表紙を立派に飾ったフェスト代表作。
Ya Mama: Fatboy Slim / ファットボーイ・スリム(UK/4:51/2001)
監督:TRAKTOR
シネマ・エレクトロニカエントリー17作品の中でロサンゼルス観客の支持を最も集めた作品。ファットボーイ・スリムことノーマン・クック氏の遊び心を最大音量で演出した大作。カリブ海に浮かぶこの小さな村は、『push the tempo!』の指令に合わせ、事実ちゃぶ台ヒックリ返し状態に。地元警察も巻き込んで大騒ぎ。クック氏、さすがイビザで幾千もの腰を振らせ続けてきた男。MTVが尻込みするのも頷けます。アメリカのメジャーな配給ラインからはじき出されてしまった形になったこの作品、レスフェストがこの大陸でのお披露目会となった。「ヨーロッパでは方映OKなのに…」とさり気なく嘆いて見せてたトラクターは、計300本以上の広告を共に手掛けてきたスイス人クリエイター二人衆。ミュージックビデオ監督はこの作品がなんと初だったそう。
開催都市を代表する若手クリエイターをフィーチャーするこのパネル・シリーズ「未来の映画製作」のロサンゼルス代表は、やはりマイク・ミルズでした。1997年のエントリー作品「Deformer」(プロスケーター、エド・テンプルトンをインティメートに描写)を筆頭にレスフェストの寵児としてシーンを自然体でリードしてきたミルズ。彼世代の雪男(サスクヮッチ、ウッキー)への執着や(そういえば同世代でディレクターズ・ビューロー仲間でもあるジェフ・マクフェトリッジも雪男のデザインをしてましたね)、ティーン特有の無防備さから生まれる美しさの徹底追求などについて、大スクリーンでの自分の作品の紹介を交えながら気さくに話してくれました。楽しいアイディア沢山の「ファミリー」(仕事仲間、友達などなど)思いなミルズの賢さと優しさが伝わる貴重な貴重なパネルでありました。
今年のツアーでは初開催となる都市がぐんと増えた。サンフランシスコ、シアトル(9.11事件の影響で開催延期となった)、シカゴ、ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルス、ソウル、ブリストル、ケープタウン、東京[ラフォーレ・ミュージアムにて11月23日〜25日]、大阪[パラダイス・シネマにて12月1日〜7日]、リオ・デ・ジャ・ネイロ、そしてサンパウロ。中でも南アフリカとブラジルでの開催は主催者達も実に嬉しそうだった。日本での開催、お見逃しなく。
Resfest 2001
日時:2001年10月25日(木)〜28日(日)
会場:Egyptian Theatre, Los Angeles
住所:6712 Hollywood Blvd., Los Angeles, CA 90028
https://www.resfest.com
Text: Aya Muto