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インゴ・ギュンター

PEOPLEText: Eriko Nakagawa

フォルクスワーゲン社のために作ったあなたの最近の作品について教えてください。

2000年5月に設置された「エクゾスフィア/グローブフィールド」ですね。これはエキサイティングであり、また私にとってとても大変なものでした。というのも美術館ではなく商業的なクライアントを手掛けたのですから。終わった後には休暇が必要なほどだったのですが、休めませんでした。幸運にもこの作品は永久にそこにありますから、いつでも見る事ができます。実際ベルリン行きの列車からこの作品を見る事ができるんですよ。夜は特に素敵です。

デメーテルについてお聞きします。帯広、十勝の印象はどうですか?

今のところ、「懐かしい」感じがします。私の生まれた所と妙に似ているのです。ソーセージの味から景色まで、沢山の事が似ています。あまりにも色々なことが似ているので、まるで奇妙な夢の中にいるようです。

会場となる予定の競馬場を訪れて、何を作るかという考えやインスピレーションを得られましたか?

ええ、でもまだ秘密です。まだこれから色々考えなければなりませんから。さもなければここで何を考えているかお話して、全く違う事をしたらガッカリさせるでしょう。予算の都合もあることですし。まったく新しいサイト・スペシフィック・ワークをつくり出すのですが、予算の問題は決定的です。限りのない予算を夢見ますが、実際予算というのは限られたものですし。

あなたの過去の作品とはまったく違う物になるでしょうか?

イエスともノーとも言えます。かなり違う物になるべきだとは思いますが…。時には歩いて時にはジャンプするとすれば、今私はジャンプしようとしているのでしょうけど…。まぁ、今後を見て下さい。

厩舎などの建物が存在していますが、そういった建物を使うつもりですか?

かなり気に入った建物がありました。厩舎ではありませんが。使いたいと思っています。しかしアイディアとしてだしても「技術的に無理かな。できても本当にしたいことをするには大掛かりすぎるな。」とか色々制約があるのです。建物あるいは厩舎を使いたいと思っていますが、あの悪臭を何とかしないと。どうにかして馬の糞の匂いを追い出す方法を考えなければいけません。

このイベント、デメーテルであなたにとって、また来場者にとって一番おもしろそうな事はなんでしょうか?

まだ分かりませんが、この地域は田舎で手の付けられていない場所なので、そういった意味でアーティストにとって刺激的ではないでしょうか。すでに何かがそこにある。それに場所が本当に魅力的なので、みな惚れ込むでしょう。ここは芸術展を行うには普通の場所ではないので、とてもワクワクします。「素晴らしい。これはこのまま触らずにいようじゃないか。ファンタスティックだ!」とか言いたくなるのですが、こういう事が一番恐ろしいですね。もちろん場所やその他の物全てに印象づけられました。もしかしたら何もしないということが一番魅力的かも…。しかしこういった最初のひらめきを克服しなければなりません。観客にとっては、こんな大きな場所のあちこちに行って見て歩くというのは最大のチャレンジになるのではないでしょうか?夏で暑いだろうし。

最後の質問です。沢山のアーティストが招待されていますが、コラボレーションを行うという可能性は?

何人かのアーティストを知っていますし、少なくとも彼らの作品は知っています。コラボレーションはいつでも可能性としてあげられますが、一緒にいなければならないので今回は難しいと思います。コラボレーションの経験がないと難しいですし、あるアーティストはヨーロッパにいて私はアメリカ、開催場所は日本となると調整をつけるもの大変です。

それに多くのアーティストは全てを統率したいと思っています。それが芸術の性質の一つであり、芸術家が再創造者だという神話を生むところなのでしょう。私自身はそんな神話はあまり信じていないのですが、それでもそんな風に振る舞ってしまいます。しかし一人で作業しようがしまいが100%の責任を負わなければならないので、実際に誰かと責任を分け合ったり、自分の作品を他の人に変えさせたりしないでしょう。それは作家として、責任を負うものとして抱く排他的な考え方ですけど。

とかち国際現代アート展・デメーテル
会期:2002年7月13日〜9月23日
会場:北海道帯広市
TEL:0155-27-2002(デメーテル実行委員会事務局)
https://www.demeter.jp

Text: Eriko Nakagawa

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