トモ・タメンパ
PEOPLEText: Julien Villaret
ブリュッセルのコンチネント展で、一人のフィンランド出身のアーティスト、トモ・タメンパに会うことができた。バーチャル製品「NEED」の疑似広告キャンペーンを大々的に展開し、展覧会では、街中にコレクターカードをばらまき、来場者に探させるというプロジェクトを制作した。
自己紹介をお願いします。
トモ・タメンパ、31歳。フィンランド出身のクリエイティブディレクター/メディアアーティストです。
「NEED」について教えてください。
NEEDは、人工的なバーチャルブランドで、西洋の消費者社会におけるブランド構築と製品文化を探求するためのプロジェクトです。僕にとっては、僕達を取り巻くカルチャーのマーケティングモデルを偽造し、コピーし、リミックスする遊び場でもあります。プロジェクトは、マーケティングキャンペーン、ウェブサイト、展覧会の3つのパートに分かれています。
NEEDプロジェクトのアイディアはどのようにして生まれたのですか?
消費者文化におけるニーズを探求することからスタートしました。イメージマーケティングのトレンドに魅力を感じ、製品を完全に排除するというアイディアでいろいろなプロジェクトを展開しています。NEEDは、このアイディアを探求するために作られたブランドです。
どのようにして「消費者」を巻き込むことになるのでしょう?
NEEDは、消費者の好奇心に作用します。消費者は、このカモフラージュされたビジュアルの表面には、何が隠されているのだろうと、疑問を抱きます。また、NEEDメンバーズクラブには、いろいろ異なるステータスレベルがあり、全てのステータスを一度に得ることができません。ステータスを得るためには、ウェブサイトを何度も訪れることが必要で、そのために皆ウェブサイトを訪れることになります。
実際のインタラクティブ性は、わざと制限されていて、僕自身と消費者の関係をクリアにするためには、そういった制限が必要となります。常に新しいものを生み出すためのリソースが僕には欠けているために、消費者をあまり巻き込むことができない状況ですが、そういった消費者に新しい考え方をさせるきっかけとしては、十分なものとなっています。
NEEDプロジェクトの最終目標とは?
マーケティングのメカニズムが製品なしでうまく機能するのかを試すことを目的としているので、実際に消費するものは何もありません。その一方で、例えば、集められた情報は、メンバーシップの価格となります。そういう意味では、消費が実際に起こっていると言えます。
現在、こういった側面を再構築することに集中しているのですが、今後どうなるかは分かりません。広告掲示板やTVコマーシャルなどで「現実の」キャンペーンをすることによってNEEDを試してみることが、NEEDの究極の完成形となるのではないでしょうか。ですがこれは、例えば、仮に日本の企業に NEEDブランド全体を売るとなった場合にのみ可能なことですが。
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